1996 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系におけるジアシルグリセロールキナーゼの分子多様性と細胞内局在の解析
Project/Area Number |
08780718
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 薫 東北大学, 医学部, 助教授 (30234975)
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Keywords | 中枢神経 / 細胞内情報伝達系 / 核内情報伝達 / イノシトールリン脂質 / 核移行シグナル / アンキリンリピート |
Research Abstract |
申請者は、中枢神経系におけるイノシトールリン脂質代謝系の情報伝達機構に関わるジアシルグリセロール(DG)キナーゼの役割を追求する目的で、これまでI型からIV型のDGキナーゼアイソザイムのcDNAを単離し、その発現解析を行ってきた。このうちIV型DGキナーゼは、I型からIII型のものとは異なり核移行シグナルを含んでいることから核内イノシトール情報伝達系に関わることが示唆されており、さらにカルボキシル基端にはアンキリン様繰返し配列をも含んでいることから、この部分がなんらかの蛋白と相互作用を示すことが考えられていた。 本研究では、まずこのIV型DGキナーゼが実際に核に局在するのか否かを検討するため、その細胞内局在を調べた。IV型DGキナーゼのcDNAにエピトープタグをコードする配列を付与し、培養COS細胞に強制発現後エピトープタグに対する抗体で細胞内局在を検討したところ、核に強い免疫反応が検出されIV型DGキナーゼが核に局在することが明らかとなった。また核内においてIV型DGキナーゼは可溶性および不溶性の両画分に分布していた。次にアンキリン様繰返し配列がIV型DGキナーゼの細胞内局在になんらかの影響を及ぼすかどうかを検討するために、この領域を欠失させた変異体DGK-IVΔCの局在を同様の方法で調べた。このDGK-IVΔC変異体も野性型と同様に核内に局在することが明らかになったが、大部分が不溶性画分に分布していた。またこのDGK-IVΔC変異体は野性型と同程度の活性を示すことからDGキナーゼ活性には影響を与えないと考えられた。以上のことよりIV型DGキナーゼは細胞核に局在し、カルボキシル基端のアンキリン様繰返し配列が核内における局在を調節していることが明らかとなった。
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