1996 Fiscal Year Annual Research Report
デンドライトパッチ法を用いた小脳プルキンエ細胞樹状突起のカルシウムチャネルの解析
Project/Area Number |
08780776
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高木 博 信州大学, 医学部, 講師 (80247220)
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Keywords | プルキンエ細胞 / カルシウムスパイク / P型カルシウムチャネル / T型カルシウムチャネル / E型カルシウムチャネル |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞においてカルシウムスパイクがその樹状突起部位で発生し、それによって引き起こされる樹状突起部位での細胞内カルシウム濃度の上昇が多くの生理機能の発現に重要な役割を果たしている事が示唆されている。しかしながら、プルキンエ細胞の樹状突起の構造の複雑さから、樹状突起部にどのようなカルシウムチャネルが分布し、どのようにカルシウムスパイクを発生してるか今まで調べられてはいなかった。本研究では、冷却CCDカメラを用いた高速カルシウムイメージング法とスライスパッチ法を組み合わせる事により、ラット小脳プルキンエ細胞の樹状突起部位でのカルシウムチャネルの分布とカルシウムスパイク発生における機能を調べた。その結果、プルキンエ細胞の樹状突起部位には、従来報告されている、オメガ-アガトキシンにに阻害を受ける高閾値活性化型のP型カルシウムチャネルと、低濃度(50〜100μM)のニッケルに阻害を受ける低閾値活性化型の(T型もしくはE型)の2種類のカルシウムチャネルが分布している事が分かった。更には、N型やL型、Q型といった他の種類のカルシウムチャネルは樹状突起部位には分布していない事も分かった。プルキンエ細胞に分布しているこれら2種類のカルシウムチャネルのうち、P型カルシウムチャネルはカルシウムスパイクの発生にそれ自身が役割を負っているのに対して、低閾値活性化型カルシウムチャネル(T型もしくはE型)は、スパイク発生をトリガーするために必要な膜電位の閾値を決定している事が分かった。
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[Publications] Haruo Kasai et al.: "Two components of exocytosis and endocytosis in phaeochromocytoma cells studied using caged Ca^<2t> compounds" Journal of physiology (lond.). 494. 53-65 (1996)
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[Publications] 宮川博義他: "スライス標本中の特定のニューロンにおけるカルシウム濃度の高速測定" 実験医学[別冊](細胞内カルシウム実験プロトコール). 119-124 (1996)
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[Publications] 工藤佳久他: "カルシウム濃度の画像解析による測定法" 日本生理学会誌. 58. 69-82 (1996)
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[Publications] 宮川博義他: "Infra-red differential interference contrast (IR-DIC)法による脳スライスの観察" 日本生理学会誌. 58. 301-306 (1996)