1996 Fiscal Year Annual Research Report
エイズの動物モデル(ネコ免疫不全ウイルス感染ネコ)に関する基礎的研究
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08780799
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中村 政美 富山医科薬科大学, 動物実験センター, 教務職員 (50186441)
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Keywords | マウス / ハプロタイプ / CTLエピトープ / 合成ペプタイド / MHC class I / 抗原特異的細胞障害性 / 免疫 |
Research Abstract |
ネコにおいてネコ免疫不全ウイルスのCTLのエピトープとして報告されている部分のペプタイド2種類(J:17-residue 196-208plus 395-398:CAADK EILDE SLKWK QR、 Fel:17-residue 390-406:RAISSWKQRNRWEWRPD)を使用し、4種類の異なるハプロタイプのマウスに1回免疫と2回免疫を行い、どのハプロタイプのマウスにネコが認識するエピトープに対するCTLが誘導できるかを調べた。その結果、1回免疫では、H-2^dのハプロタイプを持つBALB/cにおいて2回の実験よりペプタイドFelにそれぞれ15.1%および42.3%の抗原特異的細胞障害性が見られた。また、H-2^kのハプロタイプを持つC3H/HeNにおいても3回の実験よりFelにそれぞれ9.7%、31.6%、および13.6%の抗原特異的細胞障害性が見られた。DBA/2(H-2^d)とC58BL/6(H-2^b)では全く抗原特異的細胞障害性は誘導されなかった。また、2回免疫では、C3H/HeNにおいてのみ、1回免疫では見られなかったペプタイドJに13.3%の抗原特異的細胞障害性が見られ、ペプタイドFelについても17.8%の抗原特異的細胞障害性が見られた。しかし、BALB/c、DBA/2、C57BL/6については抗原特異的細胞障害性は誘導されなかった。以上のことより、H-2^dおよびH-2^kのハプロタイプをもつマウスのMHC class Iがネコの認識するCTLエピトープを認識していると考えられた。このことは、ネコを用いてのエイズワクチン開発のネコのMHC class Iを考慮する上で参考になると考えられ、有意義なデータと考えられた。今回の実験では、ハプロタイプが異なる2匹のマウスでネコが認識するエピトープに対して抗原特異的細胞障害性を誘導することができた。しかし、1回免疫の場合と2回免疫の場合では認識されるCTLエピトープがなぜ違うのかはわからないが、今後の課題として、今回見られた細胞障害性細胞についてさらにAlloのtargetに対する反応を調べ、MHC class IのrestrictionおよびCD8+のCTLによる細胞障害性かどうかを確認し、FIVに特異的な細胞障害性の誘導ができたマウスBALB/cとC3H/HeNのMHC class Iのハプロタイプとネコが認識するCTLエピトープの組み合わせについて、さらに検討を加えていくことは重要である。
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