1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08780810
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内貴 猛 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (40241385)
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Keywords | 補助人工心臓 / 溶血 / 血栓形成 / 拍動流 / 血液チャンバ / ポンプ特性 / 血液ポンプ / 人工弁 |
Research Abstract |
溶血や血栓形成の少ない血液ポンプを開発すべく,回転動揺運動をする円盤より三日月状の血液チャンバーを一方向に一定速度で潰していき,拍動琉を発生させ,次の特徴を有する血液ポンプを考察した。(1)人工弁を使わず,かつ血液を低速で旋回させるため,溶血量を少なくできる。(2)血液を受動的に脱血するため,生体組織に損傷を与える危険性を低下できる。(3)血液の注入と拍出を同時に行うため,比較的高い拍動数でも血液を拍出できる。本研究ではこの新しく考案した血液ポンプを試作して,模擬循環回路を用いてポンプ特性,効率,溶血特性等の性能を測定し,実用の可能性を検討した。その結果,以下に示す結論が得られた。(1)本血液ポンプは,人工弁を使用せずに高い後負荷に対しても血液を拍出し,動脈内で観察される波形に似た拍出流量波形および後負荷波形を有する拍動流を発生できる。(2)本血液ポンプの前負荷特性,後負荷特性は従来拍動流型の人工心臓と同等の性能である。(3)本血液ポンプの1回拍出量は50~90bpmの間で一定であり,従来の拍動流型の人工心臓の限界値より高い拍動数でも血液を拍出できることが予想される。(4)本血液ポンプによって引き起こされる溶血液は,ローラポンプや遠心ポンプによる溶血量と同程度である。これらの効果から,本血液ポンプの拍出機構は補助人工心臓用の拍動流型血液ポンプとして十分利用可能であることがわかった。また,今後更に血液チャンバ内に生じる逆流を抑えて溶血量を低減すると共に,一回拍出量を多くすることが必要であり,ポリウレタンで作製した血液チャンバの耐久性,抗血栓性について十分に検討する必要があることがわかった。
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[Publications] 川口 学: "弁無し拍動流血液ポンプに関する基礎的研究" 電子情報通信学会技術研究報告. 95. 9-16 (1995)
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[Publications] 川口 学: "揺動円板型弁無し拍動流血液ポンプの試作" 医用電子と生体工学. 33・秋期 特別号. 109-110 (1995)
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[Publications] 内貴 猛: "弁無し拍動流血液ポンプに関する基礎的研究" 電子科学研究. 3. 91-93 (1995)
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[Publications] 内貴 猛: "弁無し拍動流血液ポンプの開発に関する研究" 日本機械学会論文集 C編. 63・607. (1997)