1996 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞の応力応答を利用した非置換膝蓋/人工大腿関節シミュレータ試験
Project/Area Number |
08780831
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
日垣 秀彦 九州大学, 工学部, 助手 (00238263)
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Keywords | 人工膝関節 / 膝蓋大腿関節シミュレータ / 軟骨細胞 / 非置換膝蓋 / バイオトライボロジー / サイトカイン / 骨芽細胞 / 細胞の力覚応答 |
Research Abstract |
細胞培養系による関節組織の細胞の応力応答 人正常関節軟膏より軟膏細胞,人摘出骨肉腫組織より骨芽細胞を採取し,高密度単層培養を行った.培養液環境にて,コーンプレートタイプビスコメータ式応力負荷装置によりせん断効力負荷を行った.せん断応力1.7Paの条件において,各成長因子やサイトカインをELISAで解析したが,軟骨細胞において顕著な発現が認められたのはIL-6であった.OA関節軟骨細胞にIL-6の発現が報告されており,OAにおいてせん断ストレスが重要な因子であることが推察された.人線維芽細胞に対してもコラーゲンゲル包埋培養系において伸張負荷に対する力覚応答を検討した.線維芽細胞は伸張方向に対する配向,個体数およびゲルの収縮等を制御することによりマトリックス全体の機械的強度を上昇させることが確認された.今後,この三次元的培養における力学負荷システムを軟骨細胞にも応用できる可能性が示唆された. 組織培養系によるシミュレータの開発 2基の油圧シリンダーにより大腿四頭筋の張力と屈曲を模擬する膝蓋/人工大腿関節シミュレータを構築した.歩行等の模擬条件を決定するために,高解像度CR像を用いた人工膝関節のパターンマッチング動態解析ソフトの開発を継続して行った.シネラジオグラフィーによるOA患者の膝蓋大腿関節の動態と静的な人工膝蓋大腿関節の相対関係のマッチングを行い,二次元的シミュレーションと接触圧力分布測定を行った.接触位置は屈曲が進むに従い,膝蓋において遠位から近位に移動し,生体と同様な傾向を示すが,最大接触圧の値と屈曲角度が製品により異なり設計における重要な評価項目として考えられる. 摩擦状態の制御に関する基礎実験として,軟骨と人工材料の摩擦系における潤滑液中への関節液成分の添加の影響を観察した.特に,リン脂質の境界潤滑膜形成などにより摩擦状態の制御がある程度可能であることを確認した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Higaki: "The Boundary Lubricating Ability of Proteins in Natural Synovial Joints" Proceedings of International Tribology Conference,Yokohama. 1987-1992 (1996)
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[Publications] H.Higaki: "Role of Constituents in Synovial Fluid and Surface Layer of Articular Cartilage in Joint Lubrication (Part 2) The Boundary Lubricating Ability of Proteins" Japaneses Journal of Tribology. 40・7. 691-699 (1997)
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[Publications] 日垣秀彦: "Adaptive Surface Remodelingによる人工膝関節設計法の提案" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 17. 39-44 (1996)
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[Publications] 日垣秀彦: "Langmuir-Blodgett法により作成した軟骨表面境界潤滑膜モデルの潤滑性能" 日本機械学会論文集(C編). 62・604. 4684-4689 (1996)
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[Publications] 日垣秀彦: "関節潤滑におけるジバルミトイルフォスファチジルコリンリポソームとγグロブリン投与による境界潤滑膜形成の効果" 日本機械学会論文集(C編). 63・606. 543-549 (1997)
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[Publications] 酒井健次: "流体せん断応力が培養ヒト骨芽細胞に与える影響" 日本整形外科学会雑誌. 70・8. 1438- (1996)