1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08833009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三枝 誠行 岡山大学, 理学部, 助教授 (80135962)
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Keywords | 卵浮化 / 海産カニ類 / 活性物質の精製 / OHSS(胚脱落誘発物質) / カゼインを分解するプロラアーゼ / 生化学的性質 / 酵素 |
Research Abstract |
海産カニ類では、卵は授精直後に雌親の腹部に生えている担卵毛に付着し、一定の期間親によって保育される。胚の発育が完了すると、卵殻が割れてゾエア幼生が孵化する。潮間帯や河口域に生息する多くの種類で、幼生孵化のタイミングが潮汐時計によって制御されていることが明らかにされている。 本研究の目的は、甲殻類幼生の孵化過程が親から伝わるどのような刺激によって開始されるのか、またその過程で胚にどのような変化が進化するのか、その結果としてどのようなメカニズムで孵化が誘発されるのかを明らかにすることである。 本研究の注目としている点は、甲殻類幼生の孵化にともない、2種類の活性物質が胚体外に放出されるということである。ひとつはOHSS(胚脱落誘発物質)であり、もうひとつはプロテアーゼである。OHSSの方は、疎水性クロマト、陰イオン交換体、およびゲル濾過の3段階により、高純度な標品が精製され、SDS-PAGEにより分子量33KDaのタンパクであることが決定された。一方、透過型電子顕微鏡による観察から、OHSSは担卵毛とそれを取り巻く"コード"の隙間にある接着物質を溶解していることが判明し、さらに生化学的性質を調べた結果から、セリンプロテアーゼであることが推定された。OHSSは孵化の機構に直接的な役割を担っているものと予想されるので、これらが胚発生の過程でどの部位でいつごろ作られ、いつ胚体外に分秘されるのかを調べるために、現在ポリクローナル抗体の作成が進行中である。 一方、孵化水のなかにはもうひとつの活性因子である、カゼインを分解するプロテアーゼが含まれていることがつい最近になってわかった。透過型電子顕微鏡による観察から、このプロテアーゼは卵殻の内側にある非常に薄い層(L_3層と呼んでいる)を溶解していることがわかった。この酵素の生化学的性質、および分子量の推定については、現在研究が進行中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Saigusa,M.: "Two kinds of active factor in crab hatch woter" Biological Bulletin. 191. 234-240 (1996)
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[Publications] Saigusa,M: "The circatidal clock in an estuarine・・・・・・" Benthos Research. 52(in press). (1997)
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[Publications] Saigusa,M.,Kawagoye,O.: "Circatidal clock of an intertidal・・・・" Marine Biology. (in press). (1997)
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[Publications] Saigusa,M.et al.: "Hatching of an estuarine teerestrial・・・・・" Biological Bulletin. (in press). (1997)
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[Publications] Saigusa.M.: "Hatching and its contool of・・・・" Proceedings of Arthropodan Embryol.Soc.Japan. 32(in press). (1997)
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[Publications] 三枝誠行: "動物胚の卵乳化機構(I)と(II)" 海洋と生物. 18. 120-125,△298-304 (1996)