1997 Fiscal Year Annual Research Report
全身撮影型PETによる咀嚼時の筋運動と脳活動との相関に関する研究
Project/Area Number |
08835002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (00125501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 竹彦 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助手 (70238632)
岩田 練 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助教授 (60143038)
山田 進 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70182532)
渡辺 誠 東北大学, 歯学部, 教授 (80091768)
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Keywords | ポジトロン断層法 / 咀嚼 / 脳血流 / 筋活動 / 脳賦活 / 糖代謝 |
Research Abstract |
近年、咀嚼が脳の発育や老化に影響を与えると考えられており、咀嚼と脳機能の関係に関心が寄せられている。しかしながら、これを科学的に裏付ける根拠が十分には示されていない。これを先端画像診断技術であるポジトロン断層法(PET)を用いて解明するのが本研究の目的である。本研究では昨年度、健常者における咀嚼時の脳血流変化について検索し、ガム咀嚼における両側運動感覚野における局所脳血流の上昇および大脳全体の血流上昇、すなわち咀嚼による脳の賦活効果を明らかにし報告した(佐藤亨至他、日本歯科矯正学会雑誌55)。本年度は、健常者におけるガム咀嚼時の各筋の協調活動様式を評価するため、咀嚼筋および舌筋の組織糖代謝について検索した。その結果、これまで技術的に測定が困難であった内側翼突筋、外側翼突筋、舌筋の活動測定に成功し、咀嚼筋、舌筋のすべての活動を同時に観察することが可能となった。さらに咀嚼筋では同一筋内でも部位により異なる活動、すなわち不均質な活動が観察され、また舌においては咀嚼筋よりも高い活動を示すことが明らかとなった(Rikimaru H.,et al,CYRIC Annual Report,Tohoku University,1996)。以上のことより結論として、1)咀嚼は脳全体に対して賦活効果があり、老化に伴う脳機能の低下に対しては、顎口腔系の健康の維持、回復を行うことが好ましい影響を与えると推察された。2)咀嚼時の咀嚼筋筋活動は同一筋内でも部位により異なる不均質活動を示すことより咀嚼筋内部の機能的分化が示唆された。3)ガム咀嚼時の舌筋の活動が咀嚼筋群よりも高いことから、咀嚼における舌の役割の重要性が示唆された。 今後の課題として各咀嚼筋と活動が脳機能、及び、全身臓器機能にどのように関与しているかが残されたが、これについても解析を続けている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 井上健太郎、 伊藤正敏他6名: "Activity in the parietal area during visuomotor learning with optical rotation" NeuroReport. 8・4. 3979-3983 (1997)
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[Publications] 藤原竹彦、 伊藤正敏他10名: "Performance evaluation of a large axial field-of-view PET scanner : SET-2400W" Annals of Nuclear Medicine. 11・4. 4307-313 (1997)
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[Publications] H.M.Deloar, 伊藤正敏他6名: "Internal Dose Estimation Including the Nasal Cavity and Major Airway for Continuous Inhalation of C1502,1502 and C150 Using the Thermoluminescent Dosimeter Method" Journal of Nuclear Medicine. 38・4. 1603-1613 (1997)
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[Publications] 目黒謙一、 伊藤正敏他3名: "Striatal dopamine metabolism correlated with frontotemporal glucose utilization in Alzheimer's disease : A double-tracer PETS study" Neurology. 49・2. 941-945 (1997)
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[Publications] 山口智、 伊藤正敏他5名: "Decreased cortical glucose metabolism correlates with hippocampal atrophy in Alzheimer's disease as shown by MRI and PET" J Neurol.Neurosurg Psychiat. 62・6. 596-600 (1997)
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[Publications] 樋口真人、 伊藤正敏他7名: "Regional cerebral glucose utilization is modulated by the dosage of apoprotein E type 4 allele and α1-antichymotrypsin type A allele in Alzheimer's disease" Neuroreport. 8・6. 2639-2643 (1997)
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[Publications] 伊藤正敏、 宮崎浩他5名: "Functional analysis of the brain at rest studied by PET and EEG" J Intl Soc Life Info Sci. 15・2. 282-292 (1997)
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[Publications] Singh LN, 高橋昭喜: "Functional MR imaging of cortical activation of the cerebral hemispheres during motor tasks." American Journal of Neuroradiology. 19・1. 2113-2197 (1997)