1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08835015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佛坂 由可 長崎大学, 歯学部, 助手 (10244089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
佐藤 博信 長崎大学, 歯学部, 助教授 (00145955)
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Keywords | 下顎骨 / 骨密度 / QCT |
Research Abstract |
本研究の目的は、咬合機能と下顎頭骨密度との関連性について明らかにすることである。 対象としたのは全身に代謝性骨疾患などの異常が無く、顎関節にも自覚的、他覚的に異常が見られない、健常ボランティア男性114名(5〜85才)、女性96名(5〜82才)である。これらの対象について、我々が開発したQCT法を用いて下顎頭海綿骨及び、第3腰椎海綿骨骨密度を求めた。 健常男女の下顎頭骨密度の測定を行い、加齢変化の評価を行った。統計解析の結果、下顎頭海綿骨骨密度は、男性では20代以降加齢とともに有意に減少した(r=0.47,p<0.0001)。女性では、下顎頭海綿骨骨密度は、閉経前においては有意な減少を示さないが、閉経後は有意に減少していた(r=0.35,p<0.05)。これらの変化は男女とも、腰椎海綿骨骨密度と同様の変化であった。また男女とも下顎頭海綿骨骨密度と腰椎海綿骨骨密度との間には中等度以上の相関が見られた(男性:r=0.58,p<0.0001、女性:r=0.78,p<0.0001)。 しかし、対象を若い学生のグループしに限ると、下顎頭海綿骨骨密度と腰椎海綿骨骨密度との間の相関は、女性においては高い相関を認めたが、男性においては相関を認めなかった(女性:r=0.82,p<0.0001、男性:r=0.22)。 また、咬合機能という局所の要因が下顎頭骨密度にどのように影響するかを検討した。最大噛みしめ力と下顎頭骨密度とは青年男性と閉経後の女性で若干の相関を認めたが(男性:r=0.36,p<0.05、女性:r=0.36、p<0.01)、他はいすれも有意な相関はなかった。 以上より、下顎頭海綿骨骨密度は腰椎と同様の全身的な影響を受けて変化することが明らかになった。しかし、腰椎海綿骨骨密度と違い、下顎頭海綿骨骨密度には、明確ではないが何らかの別の要因が関わっていると思われる。
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