1996 Fiscal Year Annual Research Report
微生物における光運動反応の信号伝達の分子論と行動学的解析
Project/Area Number |
08836003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 哲郎 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (90133769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正勝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40124226)
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Keywords | フォボロドプシン / センサリ-ロドプシン / 高度好塩菌 / 光合成細菌 / イエロープロティン / オプシンシフト / トランスデューサー / メチル基受容タンパク |
Research Abstract |
1.ロドプシン様タンパク質としてフォボロドプシンだけを発現するH.salinariumの変異株を用い、フォボロドプシンをコードする遺伝子のクローニングと塩基配列の決定を行なった。また、この変異株では、別の光感覚受容体であるセンサリ-ロドプシン(SR)をコードする遺伝子の上流にトランスポソンISH2が挿入されることにより、SRの発現が抑えられていることも判明した。 2.フォボロドプシンの吸収極大は他の好塩菌ロドプシンに比べ約100mmほど短波長にある。塩基配列から予想されるフォボロドプシンの1次構造からは、この原因を推定するのは難しいことがわかった。他の原因として発色団の6位のコンフォーメーションが考えられるため、6位の単結合をトランス型あるいはシス型に固定したアナログで発色団の立体構造を調べたところ、フォボロドプシンの発色団の6位の単結合は他の好塩菌ロドプシンと同じs-トランス型であることがわかった。このことから、吸収極大波長の違いの原因は、むしろ他の好塩菌ロドプシン類のシッフ塩基近傍の環境に帰せられることが示され、さらにそれ以外の原因を特定することの重要性が示唆された。 3.高度好塩菌の2種の光感覚受容体をコードする遺伝子は、ともに上流側で対応する情報伝達タンパク質をコードする遺伝子と接し、バイシストロニックなオペロンを形成している。これらの情報伝達タンパク質は原核生物では種を超えて相同性の高いスーパーファミリー(HCDファミリー)を形成している。これまでHCDファミリーの存在が知られていない光合成細菌Ectothiorhodospira halophilaのゲノムDNA中にHCDファミリーの探索を行い、高い相同性のある未知のタンパクをコードする遺伝子2種を見い出した。
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