1996 Fiscal Year Annual Research Report
光阻害に伴う光化学系II複合体構成蛋白質の分解と蛋白質離脱の分子機構
Project/Area Number |
08836007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 泰 岡山大学, 理学部, 教授 (40091251)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / 光阻害 / D1蛋白質 / 代謝回転 / 植物生理学 |
Research Abstract |
植物に強光照射すると光化学系IIが阻害され、いわゆる光合成の光阻害が生じる。本研究では、単離した光化学系II膜、光化学系IIコア複合体、およびクラミドモナス細胞を用いて、D1蛋白質の損傷、分解、光化学系II複合体からの離脱および修復の過程についての解析を行った。その概要は以下のようになる。 (1)光化学系IIの膜表在性蛋白質のOEC33が、光化学系IIの酸化側光阻害によるD1蛋白質の分解において調節的に作用することを示した。すなわち、OEC33は損傷を受けたD1蛋白質が凝集するのを妨げ、それと平行してD1蛋白質の分解を促進する。この結論は、OEC33をもたず光化学系IIの酸化側が阻害されている試料(Tris処理光化学系II膜およびコア複合体)とOEC33をもち光化学系IIの酸化側が阻害されている試料(NH_2OH処理試料)について強光照射し、D1蛋白質の分解と高分子凝集産物の形成を比較した実験、および光化学系II試料にOEC33を再構成したものに光照射し、再構成する前の試料と比較してD1蛋白質の分解と高分子凝集産物の形成を調べる実験から得られた。 (2)光化学系IIの光阻害には活性酸素分子が関与している。光化学系IIの還元側光阻害でD1蛋白質の分解に活性酸素が関与することは、これまでに明らかにされていたが、光化学系IIの酸化側光阻害でのD1蛋白質の分解に酸素が必要であることを、トリス処理光化学系II膜に強光を照射する実験で明らかにした。関与する活性酸素分子は、活性酸素スカベンジャーの効果の検討などから、過酸化水素またはヒドロキシルラジカルであることが示唆された。 (3)In vivoの光阻害とD1蛋白質の損傷・修復過程をクラミドモナス細胞で検討した。光損傷を受けたD1蛋白質の分解にはチラコイド膜内在性およびストロマの可溶性プロテアーゼが関与することが分かった。また、損傷を受けたD1蛋白質が凝集するのをHSPが妨げ、D1蛋白質の分解を促進する作用があることを明らかにした。
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[Publications] Hashimoto,A.: "Unassembled subunits of the photosynthetic oxygen-evdving complex present in the thylakoid lumen are long-lived and assembly-competent." FEBS Letters. 391. 29-34 (1996)
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[Publications] Hashimoto,A.: "In organello assembly of newly imported oxygen-evolving complex subunits in isolated chloroplasts." The Plant Cell. (印刷中). (1997)