1996 Fiscal Year Annual Research Report
緑色光合成細菌クロロゾームの超分子構築-バクテリオクロロフィルc同族体の意義-
Project/Area Number |
08836011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上原 赫 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (60081329)
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Keywords | 緑色光合成細菌 / Chlorobium tepidum / クロロゾーム / バクテリオクロロフィルc同族体 / 会合体 / ジメチルスルホキシド-水混合溶媒 / 吸収スペクトル / CDスペクトル |
Research Abstract |
緑色光合成細菌C. tepidumの光補集器官クロロゾーム中に多量に含まれるバクテリオクロロフィル(BChl)c同族体,[E,E]BChlC_Fおよび[P,E]BChlC_Fの水-ジメチルスルホキシド(DMSO)混合溶媒中での会合体形成ならびに解離時における挙動を調べ,さらに菌体より分取したクロロゾームを用いて同条件における挙動と比較検討した。[E,E]BChlC_Fでは45%のDMSO-水混合溶媒中で,また[P,E]えよでは55%のDMSO-水混合溶媒中で会合挙動を最も顕著に捉えることができ,前者は730nm付近に,後者は750nm付近に吸収極大を有する会合体を形成した。45%DMSO中に[E,E]BChlC_Fを溶解させ40°C【double arrow】10°Cで温度変化を検討した結果,冷却過程で会合が進行するが一旦形成された会合体は再び加温してもほとんど解離せず730nm会合体は安定に存在した。一方,55%DMSO中における[P,E]BChlC_Fについて同様に検討したところ,40°C→10°Cの冷却過程で会合が進行し,逆に10°C→40°Cに加温するとモノマーに解離し,可逆系であった。CDスペクトルの測定から,[E,E]BChlC_Fの会合体は励起子カプリング型の強いシグナルを示すのに対し,[P,E]BChlC_Fの会合体は弱いシグナルを示した。分取したクロロゾームを用いて55%DMSO-水系で懸濁させ40°Cに加温すると740nm付近の吸収極大が750nmまで長波長シフトしながら減少し,それとともに670nm付近のモノマーの吸収が増大した。CDスペクトルに変化から,クロロゾーム内の[E,E]BChlC_Fが優先的に解離し,[P,E]BChlC_Fの会合体が残っていることが示唆された。さらに55°Cまで温度を上昇させると[P,E]BChlC_Fが可逆的にモノマー状態に解離することが観察された。45%DMSO系での結果からも水-DMSO混合溶媒系に懸濁されたクロロゾーム中で[E,E]BChlC_Fと[P,E]BChlC_Fが独立に会合体の解離・再会合を行うことを見出した。
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