1997 Fiscal Year Annual Research Report
メンタル・スペース理論による日仏英語名詞限定表現の談話機能の対照研究
Project/Area Number |
08837005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂原 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40153902)
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Keywords | 定名詞句 / 裸名詞 / 指示詞 / 談話処理 / ラッセルの記述理論 / メンタル・スペース / 代名詞 / 所有形容詞 |
Research Abstract |
日本語の裸名詞と英語の定冠詞名詞句は意味は異なる. ところが,この意味の違いにもかかわらず,驚くべき類似の振る舞いを示す. 本研究では,この著しい平行性を,以下のような談話処理のメカニズムに基づいて説明した. 言語入力は,一般的知識,発話状況,談話記憶という,3つの異なるデータベースからなる談話資源と関係づけられて処理される. 談話記憶はさらに,言語データ記憶,言語理解記憶,長期談話記憶の3つの下位領域に分割される. この5つの領域それぞれに対して,そこに存在する要素を同定する何らかの手段が存在する必要がある. 代名詞は,言語データ記憶領域しかサーチできない.指示語は,発話状況あるいは言語データ記憶をサーチしかできない. とすると,このままでは,一般的知識や言語理解記憶,長期談話記憶をサーチするための指令が欠けている. 英語の定冠詞名詞句と日本語裸名詞は,大概,パラメータが指定されていない役割を表し、パラメータが指定されるなら,値を与える. しかし,どのように適切なパラメータを同定するかはを教えてくれない. この不完全決定性が,それらの言語表現が談話資源のどの領域でもサーチできるために,まさに必要なのである. どんな言語もこうしたデフォルトサーチの手段が必要であり,また日本語では裸名詞,英語では定冠詞句しかこの役割を果たせないのなら,それらの表現がその機能を担うようになるのは当然のことである. 英語定冠詞句と日本語裸名詞の類似の振る舞いは,こうした一般原則から出てくるのである.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 坂原 茂: "英語と日本語の名詞句限定表現の対応関係" 認知科学. 3・3. 38-58 (1996)
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[Publications] 坂原 茂: "Roles and identificational sentences" Fauconnier,G.& E.Sweetser(eds.)Spaces,worlds,and grammar. The University of Chicago Press. 262-289 (1996)
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[Publications] 坂原 茂: "変化と同一性" 慶応義塾大学 言語文化研究所紀要. 28. 147-179 (1996)
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[Publications] 坂原 茂: "名詞句解釈の多様性と変化述語" 英語青年. 142・12. 667-669 (1997)
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[Publications] 坂原 茂: "Indirect objects in French" Matsumura & Hayashi(eds). The dative and related phenomena. Hitsuji Shobo. 105-144 (1997)