1996 Fiscal Year Annual Research Report
外国人日本語学習者における要求場面の談話進行に関する規模構造
Project/Area Number |
08837010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 京子 名古屋大学, 留学生センター, 助教授 (00210005)
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Keywords | 日本語教育 / 外国人学習者 / 要求表現 / 談話分析 / 談話進行の規範 |
Research Abstract |
今年度、外国人日本語学習者および日本人学生を対象に4つの要求場面における談話を電話を使って採集した。要求場面は対人関係、要求に含まれる内的要因を考慮して選ばれた。調査対象者(外国人日本語学習者:24名、日本人:12名)とその相手(日本人)にそれぞれ課題のロールカードが渡され、電話を介して会話がなされた。音声による情報に限定するため、電話を介した会話を採集対象とした。ロールカード及び相手の応答により会話内容はある程度コントロールしたが、全般に自然会話に近い会話が採集された。この144の会話のテープ資料を書き起こし、談話分析ソフトCHILDESで分析するために、コンピュータへの入力を現在行っている。 同一の要求場面における外国人日本語学習者と日本人では、話の切り出し、および話の進め方に異なる方略がとられることがあるが、これは1つには外国語使用に伴う緊張やあせりといった情緒的要因によるものである。さらに日本語能力の不足からくる表現の不適切使用もある。また、外国語を使って何らかの課題を遂行するとき、情報処理容量のうちの言語処理に費やす容量の割合が多くなり、結果的に思考低下につながるという研究もある。しかし、上記の要因以外に学習者がそれぞれの社会の中で身につけた社会的規範(広義の)が要求発話時に出現する。要求を当然なものと見なすか、相手の立場をどの程度考慮するか、待遇表現をどのように選択するか等、日本人との比較および、外国人同士の間のレンジについても考慮を行っている。 電話による会話の収集と平行して、音声資料以外の非言語行動も含めて分析を広げるために、ビデオ・写真等による資料も収集している。要求の要因と対人距離・姿勢、身振り等がどのように関連するか検討していく予定である。
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