1996 Fiscal Year Annual Research Report
統語構造と談話構造のインターフェース構築のための理論的研究
Project/Area Number |
08837014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲田 俊明 九州大学, 文学部, 教諭 (80108258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村尾 治彦 九州大学, 文学部, 助手 (50263992)
有田 節子 (中田 節子) 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (70263994)
田窪 行則 九州大学, 文学部, 教授 (10154957)
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Keywords | 語彙意味論 / 談話管理理論 / 認知意味論 / イベント構造 / 談話構造 / 統語構造 / 心的領域 / 因果連鎖 |
Research Abstract |
統語構造と談話構造のインターフェース構築のためのモデル作成に向けて、統語論、談話、認知意味論の各分野での研究を進めた。稲田は理論言語学の分野で注目されつつあるイベント構造に基づき、語彙意味論と統語論の対応関係の精密化をはかっている。村尾はイベント構造の動機付けを解明するために、Langacker、Croftらの認知意味論的研究の成果を取り入れることを試みており、特に、今年度はカリフォルニア大学サンデイエゴ校に出張し、Langackerと議論する機会も得た。田窪は、呼称、終助詞、提題形式など、本来的に談話を制御する機能を持つ表現の分析を進める一方で、反事実的条件文の分析を通して、反事実的スペースとアスペクト形式の分布を分析するなど、談話と統語の関係のモデル化を進めた。有田は、条件と主題の融和現象や従属分の時制現象の分析を通して、田窪の談話管理理論、フォコニエのメンタルスペース理論の日本語への適用を試みた。 基礎資料の作成については、データの収集が予定より遅れており、資料の分析が途中段階にある。特に朝鮮語については、データの分析がほとんど進んでいない。これについては専門家の協力も得て、来年度前半までには終える予定である。 その分、来年度の計画の前倒しとして、イベント構造に関する論文を収集、分析する作業を進めている。さまざまな分野で研究が進んでいるが、相互の関係については十分に明らかになっていないのが現状である。その現状を打破すべく、国内外の研究の流れ、問題点を整理していく予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 稲田俊明: "文法・発達と英語の変種獲得" 『九大言語学研究室報告』九州大学文学部言語学研究室. 18. (1997)
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[Publications] 田窪行則(金水敏氏と共著): "複数の心的領域による談話管理" 『認知科学』日本認知科学会. 3・3. 59-74 (1996)
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[Publications] 有田節子: "因果の言語学" 『月刊言語』. 25・5. 20-23 (1996)
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[Publications] 有田節子: "日本語の従属分の時制" 『九大言語学研究室報告』九州大学文学部言語学研究室. 18. (1997)
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[Publications] 村尾治彦: "Image-Schema,Cognition and the Pseudo-Imperative Constructions" 『九州英文学研究』日本英文学会九州支部. 14. (1997)
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[Publications] 稲田俊明(今西典子氏と共著): ""Complement Selection and Inversion in Embedded Clauses",『太田朗先生傘寿記念論集(仮題)』" (未定), (1997)
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[Publications] 田窪行則(金水敏氏と共著): "「応答詞・感動詞の談話的機能」、『文法と音声』杉藤美代子、犬飼隆編" くろしお出版, (1997)
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[Publications] 有田節子: "「八のdomain設定機能とテハ構文の二つの解釈」『言語探究の領域』上田功他編" 大学書林, 556 (1996)