1996 Fiscal Year Annual Research Report
物語文章理解における文脈と知識情報の統合的な処理方式に関する研究
Project/Area Number |
08837015
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Section | 時限 |
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
桃内 佳雄 北海学園大学, 工学部, 教授 (90002237)
|
Keywords | 物語文章理解 / 文脈処理 / 知識情報処理 / 照応解析 / ゼロ代名詞 / テキストベース / 文章情報検索ツール / 主題表現 |
Research Abstract |
・具体的、かつ自然な物語文章を資料として解析を進めるための基礎として、物語文章のテキストベースの構築とテキストベースからの基本的な情報抽出ツールの開発を行った。具体的には、教育出版(株)発行の1年生から6年生までの小学校の国語の教科書のすべての文章を、文章の種類、文章の構造などに関する情報を付加した形でテキストベース化し、KWICなどの基本的な情報検索ツール、および対話的に辞書を構築してゆく基本的な情報検索ツール、および対話的に辞書を構築してゆく基本的な辞書構築ツールなどの開発を行った。 ・物語文章解析アルゴリズム構築のための基礎として、文章の基本的な構成要素である文の形態素解析および係り受け構造解析のアルゴリズムについて基礎的な考察を進めた。 ・物語文章における文脈と知識情報の統合的な処理方式について、ゼロ代名詞による照応の解析に焦点を絞って考察を進めた。まず、主題、あるいは動詞にとっての必須格要素に対応するゼロ代名詞の解析について考察した。ゼロ代名詞による照応の解析については、焦点(focus)やセンター(center)などの文脈情報の選択的な保持機構の利用を基本として、文の表層的な情報や意味情報、さらには語用論的情報を制約として用いる解析手法が提案されている。それらの解析手法を参照しながら、小学国語文章中に現れる、実例として主題あるいは必須格要素に対応するゼロ代名詞を分析し、ゼロ代名詞の解析において利用される様々な情報と具体的な処理操作について検討し、ゼロ代名詞による照応の解析のための基本的な枠組みについて考察した。次に、ゼロ代名詞化とされている「の格」名詞について検討し、文章中での具体的な出現例の類型およびその解析処理の基本的な枠組みについて考察を進めた。さらに、ゼロ代名詞と密接な関係にある主題表現の具体的な出現例を収集、整理し、ゼロ代名詞の解析のための基本的な資料を作成した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 桃内佳雄: "日本語文章におけるゼロ代名詞による照応の解析について" 北海学園大学工学部研究報告. 24号. 131-147 (1997)
-
[Publications] 桃内佳雄: "日本語文章におけるゼロ代名詞照応に関する研究(科研報告書)" 桃内佳雄, 30 (1997)