1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08837016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
水野 節子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (50141247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長原 和子 東洋女子短期大学, 教授 (50105003)
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Keywords | 初期発話 / 意図 / 抑揚 |
Research Abstract |
こどもは母親との対話を通じて音声のもつ大きさ、高さ、速度、抑揚等の音響的特性を習得し、自分の意図や欲求をよりよく達成することができるようになる。本研究では、男児1名の7ヶ月、1歳、1歳3ヶ月、1歳半、2歳時におけるこどもと母親との対話を記録し、その各100発話を分析し、初期発話における意図と抑揚の関連性を検討した。抑揚については最終部分を上昇、平坦、下降の3種に分類した。発話の意図についてはDore(1974)の分類を基準とした。 【結果】1)抑揚型の種類とその比率:1歳以前では平坦型が多く、抑揚があまり明確ではない。ごく初期の発話においては声の高さを短い時間内では調節できていないことが示唆される。年齢と共に上昇型、下降型ともに増大する。これはこどもが音声の抑揚の違いに気づき、それを利用できるようになる経過を示している。また母親の発話においては初期には上昇型の抑揚が多く用いられるが、こどもの成長に従って上昇型の抑揚は減少している。これは初期にはこどもの注意を引き、交互作用に引き込むために用いられていた上昇型が、こどもが他者と会話することに興味をもつようになるため、その必要性が次第に薄れていくことを示している。2)発話の意味と文脈特性:発話の意図の分類に提案されたDoreの分類のカテゴリを用いて発話を分類し、年齢に従って応答、要求が次第に増大し、こどもが積極的に他者に関わっていく過程を示した。3)意図と抑揚との関連性:「要求と上昇型」要求の発話においては年齢と共に上昇型の抑揚が増大し、母親の要求を意図した発話における上昇型の比率に近づく傾向が見られる。「応答、相互的発話と下降型」応答反応、相互的発話においては、年齢と共に下降型の抑揚の比率が増大し、母親のそれに近づく傾向がみられる。
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Research Products
(1 results)