1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08837016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
水野 節子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (50141247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長原 和子 東洋女子短期大学, 教授 (50105003)
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Keywords | 初期発話 / 抑揚 / 要求 / 模倣と応答 |
Research Abstract |
発話の意図の相互理解は対話における最大の課題であり、語彙や文法を習得する以前の初期発話においては発話の抑揚型が重要な役割を担っている。本研究では男児1名の7ヶ月から3歳までの母親との対話記録に基づいて初期発話における抑揚の習得過程を検討した。【結果と考察】(1)要求発話と抑揚:発話の意図は様々であり、要求発話は幼児が自分の要求を伝達する為の試みである。母親もまた要求発話によって幼児の行動を統制し、このような母親の要求が幼児の学習を促す。母親の発話では初期は上昇型の抑揚が多く、成長に従って上昇型の抑揚は減少する。これは初期には幼児の注意を引き交互作用に引き込む為に用いられていた上昇型が、幼児が対話することに興味をもつになるにつれてその必要性が薄れていくことを示唆している。幼児の発話における上昇型は年齢に従って増大しており、初期発話における抑揚の学習経過が示唆される。 (2)抑揚の習得過程:幼児の言語習得は母親との相互作用を通じて促進される。幼児の初期発話は要求、叙述を表わす自発発話、相手の発話の一部または全部の模倣、相手の発話に対する応答、ひとりごと等が主なものである。『模倣』1歳半、2歳時における母親を手本とした幼児の模倣発話を母親の発話と比較した結果、模倣時の音節数は元の音節数に比して一様に減少している、また発話時間については、幼児がより長い時間をかけて、より短い音節を模倣することが分かる。また抑揚型の模倣については、とくに上昇型の抑揚を模倣することが困難なである。『応答』母親は幼児が何らかの要求を持っていること自体はすぐ理解するが、その要求を特定することは容易ではない。従って母親は幼児に対して話しかけてその諾否を確認する。母親の発話に対する応答のくり返しにより、幼児の応答は初期の多様な発話から母親にも容易に理解し得る定型的な反応へと収束していく。
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Research Products
(1 results)