1997 Fiscal Year Annual Research Report
科学論文と口頭発表の対比による文章英語と口頭英語のディスコース構成の研究
Project/Area Number |
08837022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tezukayama College |
Principal Investigator |
梅咲 敦子 帝塚山短期大学, 文芸学科, 助教授 (20269963)
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Keywords | ディスコース分析 / ディスコース / 文章英語 / 口頭英語 / ESP / テキスト言語学 / 科学論文 / 口頭発表 |
Research Abstract |
本研究は、同じ言語使用者が同じ内容を書いて伝える場合と話して伝える場合でどのように英語のテキスト構成が異なり、またなぜ異なるのかを解明することを目的としている。分析資料は英語母語話者による自然科学分野の口頭発表と論文である。口頭発表と論文は同一科学者による同一タイトルのものである。録音、文字化を手作業で行うため資料収集に時間を要する。現在までに2年間で7対(計約45,200語)の収集を完了している。昨年度は論文と口頭発表のディスコースのつち、主題構成を比較し、それらの相違のメカニズムを説明できるディスコース形成モデルを提示した(23rd International Systemic Functional Congress,at University of Technology,Sydney on July 15)。さらに、伝達内容がどのように推移するかについて分析を始めた。本年度は、伝達内容の推移を3対について比較した(研究発表:大学英語教育学会全国大会)。分析方法として、まずTrimble(1985)の枠組みを応用し、(1)テキスト作成の目的、(2)テキスト構成区分(Abstract-Introduction-Development-Conclusion-Additional Remarks),(3)テキスト構成区分別の情報機能区分、(4)情報機能区分ごとの表現方法の順にテキストを細区分していった。情報機能区分の推移が、話題の推移を分析する中心となる。Swales(1981),Bhatia(1993),Nwogu(1991)の情報機能区分(moves,steps)を参考にして、3対の論文と口頭発表について情報機能区分対比表を作成した(梅咲1998)。主な結果として、論文のIntroductionと口頭発表のConclusionが同じ情報機能区で構成されていることが解った。同じ情報機能区分の表現を比較すると、口頭発表のほうが主張を和らげる機能を持つ動詞、法助動詞、downtonersが見られた。これらの口頭発表の後方付加的、主張暖和的特徴は、論文と口頭発表のディスコース形成メカニズムと深くかかわっている。さらにテキストの分析量を増やしてメカニズムの解明を進めたい。
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