1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化と不死化における染色体末端粒(テロメア)の役割
Project/Area Number |
08838034
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Section | 時限 |
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
加治 和彦 静岡県立大学, 大学院・生活健康科学研究科, 教授 (40073019)
|
Keywords | テロメア / 細胞老化 / 不死化 / テロメラーゼ |
Research Abstract |
テロメアはTTAGGGが1,000から4,000回繰り返す反復配列より成る。DNA合成酵素は、鋳型DNAの3'末端付近の合成ができず、複製に際してその分だけ短くなる。これに対処するのがテロメアの反復配列であると想定されている。すなわち、これが複製の度に末端から少しづつ脱落し内部の構造遺伝子が保護されている。それを使い尽くした時点で細胞は老化するのではなかろうか。これを“細胞老化のテロメア仮説"とする。細胞老化のテロメア仮説を検証する目的で次の実験を行った。(1)細胞老化および不死化に伴うテロメア長の変化の観察:細胞集団の平均のテロメア長を測定する方法を確立した。これを用いて、多くの細胞老化および不死化に際してのテロメア長の変化を調べた。ヒト繊維芽細胞と血管内皮細胞では、一回のDNA複製にあたり100から150のテロメアの塩基対の脱落が観察された。しかし細胞が最終寿命に達した時点に於いても、5から8kbのテロメア配列が残っていた。(2)ヒト線維芽細胞とそれの不死化した細胞を4組選びテロメア長を調べた。3ケースでは不死化した細胞のテロメアの延長が、1ケースでは逆に短縮がみられた。テロメア長はテロメア合成酵素の発現に依存すると思われる。(3)テロメア合成酵素(telomerase)のアッセイ系の確立:この酵素のアッセイは原理的には困難ではないが、活性そのものが低く、感度を上げるための検討が必要である。PCRを導入する方法を検討し定量法を確立した。(4)テロメア合成酵素の精製:癌由来の細胞株をスクリーニングし、特にテロメア合成酵素活性の高い細胞株を選別した。この細胞の大量培養を出発材料として、本酵素の精製を試みている。
|
-
[Publications] Kaji, K.: "Effect of ayfohines on the cellular aging of human and dothohiall cells" Ahsteuet, 12th Enternptional Syiposium of Fedesation of AOBMB. 24- (1996)
-
[Publications] 太田敏郎,加治和彦: "細胞老化に及ぼす細胞成長因子の作用" 生体の科学. 47 (6). 553-557 (1996)