1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08871002
|
Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
松田 毅 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (70222304)
|
Keywords | ライプニッツ / 言語 / 科学方法論 |
Research Abstract |
今年度の研究の目的は、ライプニッツの言語哲学の問題を発展させ、それを科学方法論の問題に拡張することにありました。つまり「構造的類比の意味論」に集約されるその言語哲学の洞察が科学方法論に具体的にどのように結実するかを考察し、そこに含まれる今日的問題を提起・探究することでした。この点について研究代表者は、平成8年11月23日(土)に鳥取大学で開催された第47回西日本哲学会大会で、「ライプニッツ哲学における現象と実在-科学方法論からの検討-」と題して、その研究成果の一部を口頭発表しました。研究代表者が注目する点は、ライプニッツの物理学を中心とした科学方法論において、記号や「類比」がどのような機能・役割を果たしているかという問題です。 この問題は、一般的にライプニッツの場合、科学と形而上学との間にどのような関係があるのか、という解釈上のひとつの争点と密接に関連しています。言い換えれば、感覚的経験の対象である現象と知性的認識の目指す実在の関係をめぐるライプニッツ自身のある曖昧さをどのように解きほぐすことができるかという問題です。つまり、物理学に即するなら、現象的な派生力と実在的な原始力との間に一方では形而上学的依存関係が、他方では認識論的独立関係が表明されているのです。研究代表者は、ここで「現象の知性か」の局面について、心理発見法に含まれる「言語的なもの」の本質的機能に注目し、ライプニッツの「真の形而上学」が、同時に真理発見法の意味の「真の論理学である点を、類比やそれと連動する連続律の科学方法論に果たす機能を解明することでとらえようとしました。科学方法論における「言語的なもの」の機能への注目は、さらに現代哲学のメタファー論や科学理論におけるメタファー・モデル論との比較検討をも促すものであると思われます。しかし、それについては、なお今後の検討課題にとどまっています。
|
Research Products
(1 results)