1997 Fiscal Year Annual Research Report
目撃者の記憶変容:偏光フィルタによる実験的「見まちがい」研究
Project/Area Number |
08871013
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
守 一雄 信州大学, 教育学部, 助教授 (30157854)
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Keywords | 記憶変容 / 偏光フィルタ / ビデオプロジェクタ / 見まちがい / 話し合い / 共同見解 / 大学生 / 3人 |
Research Abstract |
平成9年度は、本研究プロジェクトの2つの目的のうち、「3人以上の目撃者の記憶変容を調べる」ことを中心に実験研究を実施した。 本研究では、当初光量の大きいプロジェクタ(YOKOGAWA VIP4000 2台)を用いて、明るい大きな画面で、守ら(1996)の実験を多人数で行うことを目指していたが、前年度の研究により、明るい大きな画面では、2つの画像を被験者に気づかれることなく提示することが困難であることが判明した。そこで、画面が暗く小さい前研究(守ら(1996))と同様の、実験手続きを用いることとし、画面が小さいため、被験者数を最小限の3人として実験を行った。画像Aを2人が画像Bを1人が見るということになった。 実験は、3人ずつの組26組78人を2つの条件(「共同条件」「統制条件」)に割り振り、被験者数を3人に増やした以外は前研究(守ら(1996))と同様の実験手続きを用いた。実験の結果、 (1)被験者は話し合いによって再生成績を向上させた。3人の目撃者の視点のずれが存在し、お互いに記憶を補い合って、出来事全体像に近い記憶が形成されるのである。(先行研究の確認) (2)話し合いをしただけの条件に比べて、「共同見解」を形成させた条件の方が、意見の同調や変化が多かった。つまり、自分の見たことと違う見解を受け入れるためには、話し合いだけでは不十分で、「共同見解」を形成する必要がある。(先行研究と同様の結果で、先行研究が確認された。) (3)前研究(守ら(1996))と違って、3人の意見が食い違った場合には、ほぼ常に多数である2人の意見が採用されがちであることが確認された。(本年度の新たな研究成果)
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