1996 Fiscal Year Annual Research Report
"いじめ"のディスコース研究-いじめに対処する教育プログラム作成の試み-
Project/Area Number |
08871016
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
小島 康次 北海学園大学, 教養部, 教授 (00161919)
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Keywords | いじめ / 投影的手法 / 意識の構造 / 作文課題 / 中学生の意識 / 学級集団 |
Research Abstract |
中学時代、すでに“いじめ"に遭遇したり、実際に経験した世代である学生に対して投影法的な手法を用いて“いじめ"に関する意識の構造を調査した。同時に、中学校にも“いじめ"に関する作文課題の調査依頼を行い、現役中学生の意識についての調査を行った。現在、大学生のデータについて一分析が終わり、次のような結論が得られている。 1)よく知られている“いじめ"の四層構造論は、現在の学級集団を説明するには不十分である。 2)「いじめっ子の描写」によって描き出されるいじめっ子像は、従来の概念では捉え切れない複雑さを持っている。 3)従来との相違は、いわゆる「悪い子」がいじめっ子になっているわけではないということである。というより、「良い子」と「悪い子」の区別が非常に曖昧になり、「普通の子」というのも不明確になってしまったという実態がある。 4)したがって、教師の側から見ても「いじめっ子」イコール悪い子どころか、頼りになるリーダー的存在の場合もあり、「いじめられっ子」の立場を極めて弱く、困難な立場にしてしまう間接的な要因になっている。 5)クラス全体の世論をリ-ドすることが可能な立場にある者によって起こされる“いじめ"こそ、現代の“いじめ"のもっとも深刻な場合であり、それによって孤立させられた「いじめられっ子」が容易に死への誘惑を感じるケースもこうした状況によって引き起こされるものと思われる。
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