1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08871023
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
早川 洋行 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (60252376)
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Keywords | O-157 / 流言 |
Research Abstract |
1996年7月に堺市で発生したO-157による集団食中毒事件は、事件の重要性と曖昧さという流言発生の条件を満たす出来事でもあった。そこで、この事件を題材にして現代社会における流言の特質を探るため、1997年8月に滋賀大学卒業生1200人を対象にして郵送調査を実施した。回収率は56.8%。 紙幅の関係上、以下では、現在まとめられたかぎりで、仮説とその検証結果の一部分のみを要約する。 仮説1 被害の大きかった地域には解決流言が、少なかった地域には解釈流言が多く発生した。 検証1 解釈流言にあたる言説を聞いた人の居住地分類、解決流言にあたる言説を聞いた人の居住地分類を検討した結果、仮説は否定された。 仮説2 解決流言の発生は自我包絡の度合いに比例する。 検証2 小学生の子供のいる家庭とそれ以外で、解釈流言、解決流言の認知度を比較した。その結果、解釈流言は12ポイント低かったのに対し、解決流言では逆に7ポイント高かった。仮説は肯定された。 仮説3 流言内容が民俗的知識に合致するほど、人々はそれを信じやすい。 検証3 「魚が感染源」「梅干しが予防」「水が感染源」「納豆が予防」「緑茶が予防」という言説を聞いて、対応行動を取った人は、いずれも3割を越えた。しかし、「肉が感染源」と聞いた人のうち、対応行動を取った人は1割であった。仮説は肯定された。 仮説4 男性よりも女性が、高齢者よりも若齢者の方が流言に敏感である。 検証4 感染源・予防策・解決策のそれぞれの言説について、性別年齢別に検討した結果、この事件に関する情報に一番敏感であったのは、30歳代の主婦層であり、これは流言内容によるものと推定される。仮説は否定された。(分析継続中)
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