1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08871032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 彰 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90054832)
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Keywords | 学校風土 / イメージ分析 / 空間 / 場 / 包括性 / 学習環境 / 映像解析 / 学習条件整備 |
Research Abstract |
本研究では、人間のあらゆる学習の機会・場・関係を「包括的」な視座に立って考察し、自発的、永続的、双方向的な学習活動を支援するための実際的な指針を得ることを期し、従来、付随的、付帯的な価値や立場しか認められなかった、物理的・時間的・人的「空間」(スペース)や「関係」の実態に焦点を当て、その意義と役割を明らかにした。本研究の萌芽的性格は、教育事象をとらえる視座を一転し、いわば「裏窓から見る」研究の方法を、まず学校を舞台に試行したことにある。操作的、可測的な側面に偏りがちな、従来の観点だけでは、複雑多様な人間発達の諸相を精確に把握するのには制約と限界があり、学校の雰囲気・傾向・風土、人間関係の機微、コミュニケーション手段としてのノンバーバルなシンボル(しぐさ、身ぶり、表情)などを加味することが必要不可欠である。 本研究の方法上の特色は、文書資料によるほか、既存映像、収録映像の分析にある。ことに、教室、校庭等における行動の継続観察記録による遊びや人間関係について、これまでに蓄積した既存映画フィルムの分析及び多くの映像収録実績を応用し、精緻かつ客観的な分析に取り組んだ。 学校教育において、副次的な、息ぬきの部分としか見なされていなかった「場」や「関係」に対する精緻な分析を通じて、児童生徒の人間形成、対人関係における「学校空間」の学習環境としての意義が見直され、病理現象(いじめ、不登校、不適応)の改善、教室や校舎の設計、指導体制のあり方など、学習諸条件の整備に有効な示唆を得ることができた。
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