1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルバニアにおけるオスマン朝末期の改革運動史料調査研究
Project/Area Number |
08871040
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
設樂 國廣 立教大学, 文学部, 教授 (10247182)
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Keywords | アルバニア / イブラヒム・テモ / 統一と進歩委員会 |
Research Abstract |
オスマン帝国の改革運動の中心であった一般的に青年トルコ人と称される運動の核となっていた「統一と進歩意委員会」は1889年5月イスタンブルの軍医学校で創設された。この創始者であるイブラヒム=テモはアルバニア人であった。彼自身はオスマン帝国から脱出し、ル-マニアに亡命しその地で上院議員となって、没した。 彼は大量の史料を保存していたが、彼の死後1960年代にアルバニア政府が引き取り、本国において保存している。しかし、アルバニアが1992年ごろまで鎖国をしていたため史料の閲覧は限定されていた。1995年9月、および1996年7月の2度にわたってアルバニアの首都ティラナにある文書局に保存されているイブラヒム=テモ文書の調査と一部の史料の複写を行った。 1996年度はこれらの史料の解読にあたった。史料の大部分がヨーロッパ各地で活動する青年トルコ人との連絡として使用された手紙類であった。しかし、手紙類は一部を除き手書きのオスマン語で書かれていた。 この史料の内容は多岐にわたっているが、裕福な官僚の子弟は海外での生活は安定していたが、政府と対立運動をする人達の海外における生活の困難な状況が明らかとなっている。 このアラビア文字で書かれたオスマン語史料をローマ字化する作業は困難な作業であり、来年度も継続していき、海外活動の青年トルコ人の実態を解明していきたい。
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