1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本旧石器時代の細石刀製作用岩石加熱処理に関する研究
Project/Area Number |
08871043
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
大沼 克彦 国士館大学, イラク古代文化研究所, 教授 (70152204)
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Keywords | 頁岩 / 細石刃 / 加熱処理 / 押圧剥離 / 実験剥離 / ピリカ遺跡 / 角二山遺跡 / 恩原遺跡 |
Research Abstract |
平成8年度と9年度には以下の研究を実施した。 1.平成8年11月16日〜11月18日:山形県米沢市を訪れ、研究遂行に必要な素材岩石(頁岩)を採集した。その結果、同市近郊の誕生川、犬川の両河岸において、旧石器時代に用いられていたものと同類の良質頁岩を採集した。 2.平成8年12月22日:宮城県仙台市の東北福祉大学を訪れ、同大学に展示されていた東北地方の複数遺跡出土細石刃資料を、加熱処理の有無に関して、観察した。 3.平成8年12月23日:山形県上山市の山形県埋蔵文化財センターを訪れ、山形県角二山遺跡出土の頁岩製細石刀資料を、加熱処理の有無に関して、観察した。 4.平成9年1月:平成8年11月に米沢市近郊で採集した頁岩をイラク古代文化研究所の裏庭において打ち割った。そして、打割物を土器製作用電気窯で加熱した。この際、3時間ほどかけて徐々に窯内部の温度を350℃まで上昇させたのち、この温度のままで2時間加熱した。電源を切って20時間経過したところで窯から加熱物を取り出した。次に、加熱打割物と非加熱打割物の両者から、押圧剥離によって、実験的に細石刃を剥離した。 5.平成9年2月11日〜2月13日:岡山大学文学部の稲田孝司教授を訪れ、同教授の研究室に保管されている岡山県恩原遺跡出土の細石刃資料(東北日本系の細石刃インダストリーで頁岩・瑪瑙製)を実見し、加熱処理の有無に関して観察した。 6.平成9年3月16日〜3月18日:北海道瀬棚郡の今金町教育委員会を訪れ、同委員会に保管されているピリカ遺跡など道南遺跡出土の頁岩製細石刃資料を実見し、加熱処理の有無に関して観察した。
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