1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08871055
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
中島 弘二 立教大学, 大学教育研究部, 教授 (40121462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 和子 立教大学, 大学教育研究部, 助教授 (50214094)
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Keywords | フランス近代詩 / フランス現代詩 / 女性 / 詩的言語 |
Research Abstract |
本年度は2年目だったので、フランス近・現代詩関係の作品や研究書、および女性史関係の資料の収集もだいぶ進み、昨年度よりも作品の具体的な読解と分析に時間をあてることができた。 読解は、広くルネサンス以降のフランス詩を視野に入れながらも、中心となったのは19・20世紀の詩人たちによる恋愛詩で、とりわけマルスリーヌ・デボルド=ヴァルモ-ル(1786-1859)、シャルル・ボードレール(1821-1867)、ステファヌ・マラルメ(1842-1898)、ポール=ジャン・トゥーレ(1867-1920)、イヴ・ボヌフォワ(1923- )などの作品であった。現在、これらの詩人たちの作品の分析を、1、女性たちは作品のなかにどのように描きだされているか、2、書き手が女性の場合、その感性は作品にどう反映されているか、3、一方は書き手で、他方は描かれた対象である男女は、詩という媒介を通してどのような実存的関係を結んでいるのか、といった観点から、先行する諸研究や詩人たちが恋人と交わした書簡類などもあたりながら進めている最中である。 作業を通して分かってきたことは、ルネサンス以来、サロンの伝統を通して継承されてきた女性賛美の方法や質が、19世紀初頭に大きく転換しているということである。大革命に始まる一連の社会的変化が、男女の関係を主題にした文学作品にも少なからぬ影響を与えていることが分かる。来年度は、研究の最終年になるので、作品を時代思潮のなかに位置づけながらさらに分析し、総括するつもりである。
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