1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本語話者のrとlの弁別能力測定方法の確立及びこれを用いた学習効果の測定
Project/Area Number |
08871059
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Research Institution | 東京商船大学 |
Principal Investigator |
たか木 直之 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (30272727)
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Keywords | rとlの聴き取り / 第2言語音の聴き取り / 言語音認識 / 音声学 |
Research Abstract |
10名の英語話者による100のrと100の1の刺激を一つづつランダムに呈示し、それがrか1かを2段階の確度とともに答えるタスク(one-interval identification task with confidence ratings)を用い、信号検出理論(signal detection theory)に基づいて日本語話者のrとlの弁別能力を測る方法の妥当性・信頼性・一般性を、語頭のrとl(例right-light)及び語頭の子音結合中のrとl(例play-pray)に関しておのおの2組の刺激セット(別の話者による)を、10名づつの日本人被験者に聞かせて検証した結果、語頭のrとlに対して例外的に高い弁別能力を示した1名の被験者を除いて、信号検出理論の予想通りのデータが得られた(妥当性)。同じ刺激セットに対する2度の応答を比べても慣れによる弁別能力の向上は見られなかった。(信頼性)。しかし同一被験者の2つの刺激セットへの応答のデータを比較した結果両者には違いが見られ、一般性は無いことが判明した。すなわち10名が録音した200の刺激で得られた弁別能力の指標は、また別の10名の録音した200の刺激で得られる指標と異なる場合があった。これは刺激と観察者の強い相互干渉を示している。しかし弁別訓練の成果を測るには最後の一般性の欠如は大きな問題とならない。なぜなら真にrとlの聞き分け能力が向上したなら、どんな刺激に対しても学習の前と後で成果が表れるはずだからである。これまで用いられてきた正答率は応答のバイアスと弁別能力とを個別に測れない欠点を持っていたが、今回のタスクを用いて学習の成果を測るパイロット研究(被験者2名)では、学習によって弁別能力が向上することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)