1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本語話者のrとlの弁別能力測定方法の確立及びこれを用いた学習効果の測定
Project/Area Number |
08871059
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Research Institution | 東京商船大学 |
Principal Investigator |
高木 直之 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (30272727)
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Keywords | 第2言語音認識 / 言語音認識 / 英語音声学 / rとl |
Research Abstract |
昨年度に学習実験に参加してもらった被験者に、再度rとlの聞き分けのテストを行い、学習によって得られた成果が、約一年後にどれほど保持されているかを、検証した。4名の被験者の内、1名は多少の弁別能力の低下が見られたが、学習開始前のそれよりは格段に良かった。残りの3名では学習実験終了時と同様の弁別能力が観察された。 これまで弁別能力の測定には主に刺激を一つずつ呈示し、それがrかlかを答えさせる方法を用いてきたが(one-interval identification task)、3つの刺激をその中の1つが常に他の2つと異なるように呈示し、被験者に何番目の刺激が他の2つと異なるかを答えさせる方法(oddity discrimination task)を被験者に与えて見たところ、刺激の間の時間(Inter Stimulus Interval,discrimination task)を被験者に与えて見たところ、刺激の間の時間(Inter Stimulus Interval,ISI)が短いと正答率が極端に悪くなることが判明した。学習実験の結果、語頭のrとlをほぼ100%の正確さで聞き分けられるようになった被験者でも、67%の正答率にしか達しなかった。英語を母語とするコントロール群の実験にまではいたっていないので、これがタスクそのものの困難さを表すのか、それとも日本人であるがための差なのかは、現時点では明確でない。しかし日本語にある子音なら、例えば「ただた」と一息に言われても、確実に繰り返すことが可能で、従って真ん中の「だ」が他の2つの「た」と違うと報告できるであろうことを考えると、このタスクが真にメイティブスピーカーと同様のrとlを獲得したか否かを判別する道具として有効である可能性が高いと思われる。
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