1996 Fiscal Year Annual Research Report
シベリア地域に分布する緒言語の語彙体系と民族移動の研究-地域学の観点から-
Project/Area Number |
08871060
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (30249940)
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Keywords | シベリア / ヤク-ト語 / 色彩名称 / 方向表現 / 地域学 / 語彙研究 |
Research Abstract |
本研究は、シベリア地域に分布する諸言語の語彙、特にセットとして扱い易いであろうことが期待される「色彩名称」、「数量表現」、「方向表現」、「親族名称」等に注目して地域学の観点から行う研究である。本年度はこれらの語彙セットの中から「色彩名称」と「方向表現」、特に後者に重点をおいて研究を行った。方向の表わし方についてはシベリアの緒言語について、予備的に次の4種を分けることが出来る:(1)「東西南北」にあたる語彙(方角名称);(2)地勢による方向表現(例えば、付近の川の流れによって「上流の方へ」「下流の方へ」等と表現する);(3)「左右」「中」「四方」等の語彙を転用にする方向表現;(4)その他、例えば、星の動きのような自然現象等により表す。 研究対象としては、以前から語彙研究の対象としていたヤク-ト語を本年度も主な対象とした。ヤク-ト族は、おそらく中央アジアからバイカル湖沿岸を経て移動し、シベリアの広域に分布するに至った民族である。ヤク-ト語は周辺の諸民族の言語から単に語彙を借用するのみではなく、上記の(4)に該当するような地域特性をも吸収したであろうから、本課題において非常に重要な言語である。詳しくは拙論「ヤク-ト語語彙研究(2):方向表現」(学術情報センター紀要9号・近刊)に記述した。なお、色彩名称については「ヤク-ト語語彙研究(1):色彩名称」(学術情報センター紀要8号pp. 115-198)に記述した。 本年度は「数量表現」及び「親族名称」についてを中心に研究を進め、語彙体系パターン化と民族移動の軌跡についてシベリア地域全体を俯瞰し、本年度の成果と合わせてまとめていきたい。
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Research Products
(1 results)