1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08872001
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
林 信夫 立教大学, 法学部, 教授 (40004171)
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Keywords | 無名契約 / 契約 |
Research Abstract |
無名契約contractus innominatusに関わる文献史料の検索結果に基づいたパソコン入力およびそのデータ・ベース化作業中昨年度末完成部分があったので、その部分につき、まず当該契約行為の主体、客体、地域、年代などの項目ごとに分類していく作業を行ない、文献史料から抽出された関連史料についての整理をほぼ完成した。ついで、昨年度終わり頃から着手した非文献史料中の碑文史料の検索を継続して行ない、さらに今年度新たにパピルス史料からの無名契約関連史料の検索も平行して行ない、文献史料同様に、それら抽出史料の入力作業とデータ・ベース化を行ない始めた。 しかし、碑文史料・パピルス史料については、そのインデックスやCD-Rom化がほとんどすすんでいないなど不備であるため検索そのものが難航し、今年度中に検索の完成をみることができなかったため、無名契約行為関連の史料を管見の範囲ですべて項目ごとに分類するという作業は、すべて終了したとはいえなかった。それにもかかわらず、本研究の結果の方向性が出てきたように思われる。すなわち、無名契約に含まれるとされる4類型が同時に同じ背景の下で登場してきたのではなく、おそらく紀元後に商業の中心地としての首都その他の大都市でまず「あなたが何かを為すように、私があなたに何かを供与する」というタイプが契約的保護の対象の中に取り込まれ、他の類型も帝政期がすすむ中で保護の対象とされるに至った、と考えられる。しかし、このように想定できたとしても、当該契約類型の法的保護と訴訟技術上の問題で解決すべき問題がまだ残っている。
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[Publications] 林信夫: "勅法にみえる新生障害児と母親の法的能力" 立教法学. 46. 65-75 (1997)
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[Publications] HAYASHI,Nobuo: "L'appelloe altri mezzi processuali sotto l'Imperatir e CostantinoI" Atti dell'Accademia romanistica cost antiniana. XI. 69-78 (1997)
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[Publications] テオドシウス法典研究会: "(共訳)テオドシウス法典(Codex Theodosianus)(7)" 立教法学. 47. 229-246 (1997)