生命保険相互会社における保険取引の特殊性に関する研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08873010
• Research Institution: Ryukoku University
• Principal Investigator: 井口 富夫 龍谷大学, 経済学部, 教授 (70113115)
• Keywords: 生命保険 / 保険 / 規制 / 規制緩和 / 相互会社

Research Abstract

・わが国および、アメリカの大手生命保険会社は、相互会社である。相互会社は、非営利の中間法人であり、保険業においてのみ認められている特殊な企業形態である。資本主義の経済システムにおいては、原則的には、需要者は、供給者からみれば、単なる顧客に過ぎないが、生命保険相互会社においては、需要者である契約者は、顧客であるとともに、会社の所有者としての社員でもある。
本研究の目的は、資本主義における一般取引(会社と顧客との取引)とは、大きく異なる保険取引(会社と社員との取引)に関して、経済学的アプローチを行なうことであった。
・研究期間は2か年であるが、初年度である平成8年度は、次の順序で研究を進めた。
(1)生命保険相互会社に関する従来の諸研究のレビュー
(2)保険研究における相互会社論に関する従来の諸研究のレビュー
(3)相互会社に関する政府規制についての諸研究のレビュー
(4)相互会社と効率性に関する諸研究のレビューおよび、実証研究のための統計的資料の収集・整理
・以上の研究を通して、資本主義経済における特殊な取引形態であり、1950年代より長期にわたって行なわれてきた保険取引に関する内外の経済学的研究においては、ほとんど無視されてきた保険取引の特殊性について、理解を深めることができた。
・次年度においては、保険取引の本質を、より明確にするとともに、相互会社に対する政府規制を、相互会社の特殊性を考慮することによって再検討し、報告書をまとめる。