1996 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・インベストメントのための企業評価システム
Project/Area Number |
08873015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
國部 克彦 神戸大学, 経営学部, 助教授 (70225407)
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Keywords | ソーシャル・インベストメント / 企業評価 / ソーシャル・スクリーン / 社会的株主行動 |
Research Abstract |
ソーシャル・インベストメント実践の現状と制度について特にアメリカの動向を研究した。その結果、アメリカにおいてソーシャル・インベストメントに関わるミューチャル・ファンド、年金基金の動向は、1993年以降も総じて堅調であることが明らかになった。 ソーシャル・インベストメントのための企業評価システム(ソーシャル・スクリーン)については、特定の企業を排除する除外スクリーンから、企業の社会的な側面を評価する定性的スクリーンへの拡充傾向が明らかにされた。さらに、ソーシャル・スクリーンをもつファンドにおいて、ソーシャル・スクリーンはその収益性に無関係であるという実証分析結果を検討した。ただし、環境問題に特化したファンドは成績が必ずしも良くないことが示された。 ソーシャル・インベストメントの一形態である社会的な株主行動については、タバコ、環境とエネルギー、取締役会の多様性、雇用の機会均等などのテーマが多く提起され、企業経営に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。社会的な株主行動の手段としては、経営者との対話、株主提案、議決権の行使が主要なものであるが、これらが多様に組み合わされて実践されていた。 ソーシャル・インベストメントの現代的意義は、社会的側面を重視する人々が、資本主義社会の調整機構(市場と株主-取締役関係)を通じて実現を目指すところにあり、社会的な自己統治のための有力な手段となりうることが明確にされた。
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Research Products
(1 results)