1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 知之 大阪大学, 基礎工学部, 講師 (80211811)
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Keywords | 液膜流 / 可積分系 / 進行波解 / パルスダイナミクス / 波数選択性 |
Research Abstract |
液膜流のモデルを中心に可積分系の摂動の解析を行った。現在中心テーマはふたつに分けられて、その一つは進行波解の安定性、もう一つは高次元でのパルスダイナミクスの解明である。いずれも最終結果までにはまだ至っていないが、部分的な結果はそれぞれ研究発表を行っている。進行波解のなかでもパルス解の線形安定性は固有値レベルでは解決されて平成9年出版予定である。また2次元の液膜流方程式のパルスダイナミクスについては空間スケールに対してパルス間隔が長いという意味での漸近的な相互作用を得ることが出来た。これによって2次元の偏微分方程式のシミュレーションと合致する常微分方程式を導くことができ、一見複雑なパルスパターンを長期的に予測することが可能になった。この結果は現在、Ogawa,Liu,Two dimensional patterns of pulses appearing in a thin viscous film flowとして投稿中である。進行波解の安定性の観点からはまだ明かにするべきことが多々ある。最近、今まで扱っていた液膜流方程式より一般的な摂動項を持つ方程式に対してそのすべての周期進行波解を構成できることがわかったが数値計算によると安定性に於て個々の周期解に意味のある差があることが示唆されている。筆者等はこれを摂動による波数選択性と呼んでいるが、これを周期解のまわりの固有値問題を解くことによって詳しく調べることが重要だと考えられる。実際の現象で観測されるのはむしろ特定の周期解であることからもこの問題は重要である。また以上のことは交通渋滞のモデルなどにも見られるある程度普遍的なことである。交通渋滞のモデルの場合には波数選択性は渋滞の長さに対応する。
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