1996 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜における冷中性子波動光学現象を用いたトンネル現象の解明
Project/Area Number |
08874019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田崎 誠司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (40197348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 武 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (20027436)
海老沢 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30027453)
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Keywords | 低速中性子 / 中性子光学 / 薄膜 / 中性子反射鏡 / トンネル現象 / 中性子スヒロン干渉 |
Research Abstract |
本年度は、原研C3-1-2ビームポートおよび京大炉CN-1ポートにおいて所期の偏極中性子ビームラインを整備し、これを用いて実験を行った。ビームラインの整備としては、原研改造3号炉のC3-1-2ポートに設置された中性子反射率計に位置感度型中性子検出器を導入し、中性子ビームの広がりを精密に測定出来るように整備した。また、京大炉で製作した多層膜中性子偏極ミラーを用いることにより、偏極率0.95程度の単色中性子ビームを得ることができ、これに中性子スピンフリッパー、磁場発生用コイル、手持ちの直流電源および本研究で購入した精密直流電源装置を用いて中性子の上向きスピン波と下向きスピン波の干渉を測定するための中性子スピン干渉計を構成した。この干渉計を用いて、上下のスピン波の重ね合わせ状態の中性子が磁性薄膜を透過する際におけるそれぞれの波の位相差の変化を測定する実験を行った結果、全反射領域におけるトンネル現象の場合も含めて、このような干渉状態は中性子波の光学的計算で非常によく再現できることが分かった。この結果は、中性子がこのような磁性薄膜を透過する際には、その透過に要する時間を測るために中性子のアーモア回転を用いることが出来ないことを意味する。次年度には、今回の実験の解析を進めるとともに、吸収の非常に少ない物質を用いた場合の非偏極中性子のトンネル現象に関する実験を行う予定である。
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