1997 Fiscal Year Annual Research Report
電荷密度波の並進運動と動的記憶現象としてのパルス幅記憶効果
Project/Area Number |
08874022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡島 吉俊 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00213934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山谷 和彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002054)
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Keywords | 擬一次元電気伝導体 / 電荷密度波 / 並進運動 / 記憶効果 / パルス電場 / ピン止め状態 |
Research Abstract |
本年度の研究実施結果は以下の通りである。 1 パルス電場応答測定のためのクライオスタット、高速広帯域プリアンプおよび自動測定プログラムを作製し、その動作の確認を行った。 2 NbSe_3のパルス電場応答を測定したが、パルス幅記憶効果を示す試料は得られなかった。これは、電極の状態が不完全であるために電荷密度波の運動が乱されることによる。 3 電極の影響を弱くする方法として、NbSe_3単結晶自体を電極として用いるというアイデアを発案した。 4 NbSe_3単結晶自体を電極として用いることの可否を明らかにするために、NbSe_3単結晶同士を接触させた接合を作製してその電流電圧特性を測定した。 5 NbSe_3-NbSe_3接合の電流電圧特性には以下の特徴が現れた。4.2Kでは、電荷密度波ギャップに相当すると考えられる電圧で、微分伝導度に異常が現れた。電荷密度波が並進運動する50Kでは、しきい電流以下では線形な電流電圧特性が観測されたが、しきい電流以上では、微分伝導度が急激に増加した。この増加は電荷密度波の並進運動と密接に関係しているものと考えられる。 6 パルス幅記憶効果が現れる50K付近では、しきい電流の大きいNbSe_3単結晶を用いれば、NbSe_3単結晶自体を電極として用いることが実際に可能であることが確認出来た。
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