1998 Fiscal Year Annual Research Report
電荷密度波の並進運動と動的記憶現象としてのパルス幅記憶効果
Project/Area Number |
08874022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡島 吉俊 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (00213934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山谷 和彦 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (80002054)
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Keywords | 擬一次元電気伝導体 / 電荷密度波 / 並進運動 / 記憶効果 / パルス電場 / ピン止め状態 |
Research Abstract |
本年度の研究実施結果は以下の通りである。 1 NbSe_3単結晶自体を電極として用いてNbSe_3のパルス電場応答を測定した。測定した試料はパルス幅記憶効果を示したが、その範囲は非常に狭く、データの再現性も良くなかった。これらのデータはパルス幅記憶効果によって選択されたピン止め状態の特徴を明らかにするには不充分であった。この原因を調べた結果、パルス電場に対する電極の安定性が悪いことがわかった。パルス幅記憶効果を詳しく調べるためには、電極の安定性を良くする必要がある。 2 作製した試料を観察している際、リング状結晶を発見した。この結晶がNbSe_3であるかどうかをX線回折、電気抵抗の測定から調べ、NbSe_3であることを確認した。また、電子線回折により電荷密度波形成による衛星反射を確認した。 3 45K付近でリング状結晶の電流電圧特性を測定したところ、電荷密度波の並進運動による非線形電気伝導が観測された。このときのしきい電場は従来のリボン状結晶におけるしきい電場と同程度であった。 4 リング状結晶において電流を二経路に分岐して流したとき、電荷密度波の並進運動が他の経路を流れる電流に影響を与えることを初めて観測した。この現象は電荷密度波の干渉効果による可能性がある。リング状結晶を用いた電荷密度波の干渉効果の研究は今後大きく発展することが期待できる。
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