1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874045
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
河野 宣之 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (10186116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英夫 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (60132677)
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Keywords | 同期電波源 / 周回衛星 / 惑星 / 月 / 火星 / 秤動 / 潮汐 / 自由振動 |
Research Abstract |
今年度は既存の技術を用いて中枢部となる2つの発振器の位相比較システムを製作し、同期電波源の基礎実験を実施した。また月及び火星に2つの同期電波源を設置した場合にどのようなものが観測可能になるか検討した。 位相比較システムは既存の2つの原子周波数標準からの10MHz信号を400MHzに別々に周波数変換し、この信号を400MHzから10kHzへの周波数変換器までケーブルで伝送し、2つの10kHz信号を位相比較するものである。このシステムは周波数400MHzでの周回衛星-惑星上の2つの電波源間の衛星通信をケーブルに置き換えたものであり、衛星を利用した2つの電波源の同期のための地上実験装置として、基礎的なデータ取得に適当である。この装置による実験で、簡易な装置で原子周波数標準とほとんど等しい周波数安定度が得られ、2つの電波源の同期のための基本的なシステムの見通しを得た。 月および火星表面に2つの電波源を設置し、この間の距離を3cmの精度で測定できたとき、どのような量を求めることができるか検討した。月については、秤動を従来より2桁高精度で測定でき、その結果から、中心核の密度を求めることができる。中心核の密度は親鉄元素の量に依存するので月の起源に迫ることが出来る。また月の潮汐や自由振動の検出の可能性のあることも分かった。一方、火星に設置した場合、自転軸の変動および自転速度の変化を地球のそれと同程度の精度で測定できることから、火星の内部構造の研究が可能である。また砂嵐による自転速度の季節変化、極運動の検出についても現在検討中である。 月あるいは惑星に複数の電波源を設置してその位相差を測定する場合、設置場所の異なる重力場、周回衛星を利用した同期などには一般相対論効果を考慮しなければならないが、これらの影響についての検討はほぼ終了した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 細川瑞彦,今江理人,河野宣之,花田英夫,朝木晴義: "同期電波源による惑星測地計画の検討" 宇宙放射線シンポジウム. 1996. 103-106 (1996)
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[Publications] 河野宣之,大江昌嗣,花田英夫,日置幸介,荒木博志,包 星明: "RISE(Radio Interferometry for SEI enodesy)計画" 宇宙放射線シンポジウム. 99-102 (1996)
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[Publications] 日置幸介,大江昌嗣,河野宣之,花田英夫,荒木博志,包 星明: "RISE(Radio Interferometry for SEI enodesy):測月VLBI計画" 第17回太陽系科学シンポジウム集録. 62-65 (1996)
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[Publications] 花田英夫,河野宣之,大江昌嗣,日置幸介,荒木博志: "RISEの月面電波源の周波数と帯域" 1995年度VLBIシンポジウム集録. 169-172 (1996)
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[Publications] Hanada,H.,Kawano,N.,Ooe,M.,Heki,K.,Araki,H.,et al.: "Scientific goal of VLBI observation of radio soures on the Moon and a Lunar orbiter" Proc.29th ISAS Lunar and Planetary Symposium. 12-15 (1996)