1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874056
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 雅夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004489)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下林 典正 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70235688)
|
Keywords | 鉱物 / 晶相変化 / 結晶成長 / 成長理論 / 成長実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現在に至るまでその原因が明らかにされていない鉱物の晶相変化についての基本的な解明を、理論と実験を通して総合的に行うことである。本研究期間内に、理論的研究としては溶液からキンクサイトへの原子の取り込みは、溶液から直接取り込む方がテラスやステップサイトを経るより"遅い"ことがあり得るという立場から、一般的な場合について理論的解析を行い晶相変化の理論の基礎を構築した。特に、結晶面に平行な結合を持たない成長面が、晶相変化によってなぜ平面として出現するかという晶相変化の理論とって最も重要である問題を解析した。その結果、表面拡散が無視できるような場合には2次元核形成と同様の機構が働き、結果として層成長することを発見した。これらの解析により、多面体間の晶相変化が不純物の無い系で起こりうることをはじめて理論的に証明する事に成功した。さらに、晶相変化の過飽和度依存性を定量的に知るために、2次元結晶を例として取り上げ、キンク密度の過飽和度依存性の解析を行い、従来知られていた近似解を特殊解として含む一般的な式を得た。さらに、この理論と対応させるためモンテカルロ法によるコンピューターシミュレーションを行い、2次元結晶のキンク密度の過飽和度依存性を定量的に計算した。これらの定量的解析と上述の定性的解析を合わせて、2次元結晶の晶相変化の過飽和度依存性をより定量的に記述できる基礎を構築した。 また、理論では温度と過飽和度が独立した変数として現れるため、実験としては圧力変化による駆動力のもとでの鉱物の成長実験を行った。上述の理論と対応させる程度にまでは至っていないが、結晶の成長実験としては成功しており今後の実験法の改良などに関して多くの情報を得ている。さらに、鉱物内部の累帯構造が晶相変化を示すため黄鉄鉱、石英、ダイヤモンドなどの累帯構造を詳細に観察し、黄鉄鉱では晶相変化と不純物の相関性などを定量的に見積もることに成功した。これらの理論的・実験的研究を通して、天然の鉱物の晶相変化に関する予言性のある理論の基礎を構築した。
|
Research Products
(1 results)