1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 敬治 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10252628)
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Keywords | 人工受容体 / 超分子 / 絶対配置 / エントロピー / エンタルピー / キラル / 不斉認識 |
Research Abstract |
「キラル人工受容体によるキラル基質のNon-enantioselectiveな錯形成反応を系統的に研究し、有益な用途を示」そうとする本研究は分子認識研究の新しい方向を示すもので、独創的且つ意外な着想に基づいていると考え、萌芽的研究として申請した。 策定した研究計画にしたがい、8年度を「基本的分子認識挙動データの集積とそれに基づく人工受容体設計および合成の期間」と定めた。まず研究代表者らが合成したフェノール性クラウンエーテル型人工受容体と不斉アミンについて、NMR化学シフト変化とアミノの絶対配置との相関関係を調べる実験をおこなった。その結果、本研究課題における重要な点である「キラル人工受容体によるキラル基質のNon-enantioselectiveな錯形成反応」の実現可能性の実証に成功した。具体的成果としては、キラル人工受容体によるキラル基質の錯形成反応における鏡像体選択性の温度依存現象を調べ、鏡像体選択性がなくなる温度(Tiso)を測定可能領域に見出すことができ、研究発表雑誌論文欄記載の文献に発表した。また、第2回機能性ホストーゲスト化学研究会サマーセミナーおよび第26回構造有機化学討論会において報告した。さらに、人工受容体の基質の組み合わせによってTisoが様々に変化することも見出した。このことは、人工受容体の分子設計において、エントロピーとエンタルピーの両者の影響を考慮した指針を確立することの重要性を示している。「人工受容体による新規絶対配置決定法」に用いる人工受容体は「高い磁気異方性効果の期待できる」事のみならず、エントロピーとエンタルピーの各項がどのように働くかを、大まかにでも、見積もる必要がある。現状においてエントロピーとエンタルピーの両項がかなり小さくなると予想される人工受容体を合成し、これを用いた「人工受容体による新規絶対配置決定法」への適用を試みている。
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[Publications] K.Naemura,J.Fuje,K.Ogasalasa,K.Hriore and Y.Tobe: "Temperature degsendent reversal of enantiomer selectirity in the comydenation of optically actine phenolic crown ethers wich chirl amines" chemical commumication. 2749-2750 (1996)