1996 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター錯体系の酸化還元サイクルを用いる金属イオンの補集システムの構築
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08874078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004500)
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Keywords | 酸化還元反応 / 電気化学 / 金属イオン補集 / ルテニウム錯体 / 複核錯体 / オキソ架橋錯体 / アルカリ金属イオン / アルミニウムイオン |
Research Abstract |
本研究計画は,金属イオンを脱着できる機能を持つ錯体分子系の開発と,これを固定化した電極の機能を調べることを目的とした。本年度はそのような錯体系として有力なオキソアセタト架橋型の複核ルテニウム錯体について、溶液中での機能を調べた。用いた錯体は、[Ru_2(μ-O)(μ-CH_3COO)_2(2,2′-bipyridine)_2(L)_2]^<2+>(L=imidazole, pyridineおよびそれらの誘導体)型の錯体で、そのアセトニトリル水溶液に種々の金属イオンを添加し、吸収スペクトルおよび酸化還元反応性の変化を調べた。調べた金属イオンは、Li^+ 、Na^+、Al^<3+>、Cu^<2+>、Co^<2+>、Fe^<2+>などであるが、Ru_2の酸化状態が(III,III)のままでも、Al^<3+>やCu^<2+>では吸収スペクトルに大きな変化が認められ、かつNMRスペクトルでも常磁性シフトが観測された。これらの事実は、オキソ架橋への金属イオンの結合を示している。他の金属イオンでは、これらの変化は観測出来なかったが、サイクリックボルタモグラム(CV)では、Li^+、Na^+の場合に還元側(II,III)/(II,II)の波に正側へのシフトが認められ、これらの金属イオンがRu_2(II,II)の時にオキソ架橋と相互作用することがわかった。Al^<3+>では、CV全体に渡り酸化還元波の正側へのシフトがみられたが、還元側の波のシフトはプロトン添加の場合とほとんど同じであり、水和アルミニウムイオンの加水分解で生ずるプロトンがオキソ架橋に付加したことにる変化と考えられた。一方、6配位八面体型の金属イオンが相互作用しないのは、立体的な障害によるものと考えられる。以上の様に、ルテニウム複核錯体とある種の金属イオンとの間に、電位制御可能な相互作用が明かに観測された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hideki Sugimoto: "Preparation, Stucture, and Properties of Bis (μ-oxo) dirhenium- (III,IV) and-dirhenium (IV) Complexes of Tris (2-pyridyl-methyl) amine and its (6-Methyl-2-pyridyl) methyl Derivatives." Inorganic Chemistry. 35,No.24. 7082-7088 (1996)
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[Publications] Tomoaki Tanase: "Synthesis, Structures, and Spectroscopic, Magnetic, and Electrochemical Properties of (μ-Alkoxo) bis (μ-carboxylarto) diruthenim Complexes, M[Ru_2 (dhpta) (μ-O_2CR)_2] (M=Na and K, dhptaH_5=1,3-Diamino-2-hydroxypropanetetraacetic Acid)." Inorganic Chemistry. 35,No21. 6230-6239 (1996)
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[Publications] Masaaki Abe: "Oxo-Centered Mixed-Ligand Triruthenium Complexes Having Redox-Active N-Methyl-4,4′-bipyridine Ions (mbpy^+)." Inorganic Chemistry. 35,No.23. 6724-6734 (1996)