1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874083
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
清水 都夫 上智大学, 理工学部, 教授 (50053640)
|
Keywords | ルテニウム錯体 / β-ジケトン錯体 / 硫黄架橋錯体 / 混合原子価錯体 / 電気化学的性質 / 塩化硫黄 |
Research Abstract |
金属-硫黄結合に係わる電子は非局在化し、これが電子伝導に特異な機能を発現することから、この特性を生かした機能性材料開発のための基礎的情報を得るための研究を行った.即ち、二核錯体の中心金属部分を測定機に接続するための端末、架橋部分を電子伝達のワイヤーと考え、一方の中心金属へ電子を出入りさせた場合、他方の金属がどの程度その事実を感知することが出来るかを調べることによって、架橋部分の電子伝達性の程度を評価しようとする試みである.本年度は2種類のモデル化合物の系統的創製方法を開発し、それらの電極反応を明らかにしたので報告する. 1.[Ru(β-dik)_2(acac)]とSCl_2またはS_2Cl_2とを反応させることにより、ルテニウムトリスβ-ジケトン錯体中の1個のβ-ジケトンのγ位炭素を硫黄原子団で架橋した新規二核錯体[(β-dik)_2Ru(acac-S_n-acac)Ru(β-dik)_2](n=1-3)の系統的合成方法を確立した. 2.[Ru(β-dik)_2(AN)_2](AN:アセトニトリル)とS_2Cl_2との反応により、ルテニウム金属を直接硫黄原子で架橋した新規二核[(β-dik)_2Ru)_2-μ(S_2)_2]および三核錯体[(β-dik)_2Ru(_3-μ(S_2)_2)]の系統的合成方法を確立した. 3.新規に創製した二核錯体はそれぞれRu^<II>-Ru^<III>およびRu^<III>-Ru^<IV>の混合原子価状態の安定度を示す均化定数(K_c)は、同じ錯体部位をアルキンやアルケンで結合した同様な二核錯体に比べて増大した.
|
Research Products
(1 results)