1996 Fiscal Year Annual Research Report
カプセル型分子に基づく新規反応場の開発と高反応性化学種の反応制御への応用
Project/Area Number |
08874094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 廉治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70011567)
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Keywords | ホスト・ゲスト化学 / 分子認識 / チオアルデヒド / シンプルエノール / 光反応 / エンドヘドラル化学 |
Research Abstract |
レゾルシン[4]アレーン、メタ置換フェニルユニットを結合させ、ついでメタ置換テルフェニルユニットをカップリングさせることにより、十数種類のカプセル型分子を合成した。これらのカプセル型分子は、各ユニットを結びつける鎖の原子の種類、メタテルフェニル部に入る官能基の大きさなどにより、メタテルフェニル中央のベンゼン環がカプセル内の方向を向くconcave型とカプセル外の方向を向くconvex型が生成した。メタテルフェニル部にメチルチオメチル基(COCH_2SCH_3)が置換した化合物は、クロロホルム中ではconcave型、トルエン中ではconvex型で存在すると言う興味深い挙動を示した。これは、クロロホルム分子の大きさがconcave型カプセル内部の大きさにフィットするためと解釈された。ベンゼン、テトラヒドロフラン溶液中では、concave型とconvex型の両者が共存することが明らかとなった。 メチルチオメチル体のトルエン溶液を1-メトキシ3-トリメチルシリルオキシ-1,3-ブタジエン(Danishefsky diene)共存下、室温で光照射したところメタテルフェニルユニットに_-C(OH)=CH_2の置換したシンプルエノールが安定な結晶として得られた。このエノールは極めて安定であり、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製でき、トリフルオロ酢酸を加えることにより約3日をかけてゆっくりとケト化した。また、カプセル内部に発生したチオホルムアルデヒドは、約10秒程度はカプセル中に滯まるが、最終的には外部に出て、Danishefsky dieneと反応して,Diels-Alder反応生成物を与えた。このように、カプセル分子を用いることにより高反応性化学種のシンプルエノールとチオホルムアルデヒドを長寿命化することに成功した。
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[Publications] T.Saiki: "Synthesis and Structure of a Bridged Calix[6]arene with a Sulfenic Acid Functionality in the Cavity." J.Org.Chem.61. 2924-2925 (1996)
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[Publications] T.Saiki: "Structures of Bridged Calix[6]arenes Bearing a Bromide Functionality in the Cavity." Tetrahedron Lett.37. 4039-4042 (1996)
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[Publications] S.Watanabe: "An Endohedral Simple Enol : TheFirst Isolation of β-Unsubstituted Simple Enol Utilizing a Lantern-shaped Molecular Framework." J.Am.Chem.Soc.(印刷中).