1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲永 純二 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (50091244)
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Keywords | 希土類超強酸塩 / スカンジウムパ-フラート / フリーデル・クラフツ反応 / 5族金属超強酸塩 |
Research Abstract |
先ず、5族元素であるバナジウム、ニオブ、およびタンタルについて、ペンタキス(ビストリフリルイミド)塩あるいはバナジウムオキシトリス(ビストリフリルイミド)塩をそれぞれの金属塩化物あるいはオキシ塩化物とビストリフルオロメタンスルホン酸イミドから合成した。調製した錯体のルイス酸としての触媒活性をメトキシ酢酸のベンジルエステルをベンゼンのベンジル化剤とするFriedel-Crafts反応に用いて評価した。その結果、ニオブ<タンタル<バナジウムの順に活性が高いことがわかった。また、バナジウム錯体は、既に当研究室で開発した優れたルイス酸触媒であるスカンジウムパ-フルオロオクタンスルホン酸塩よりもさらに活性が高いことが明らかとなった。しかしながら、今回合成した錯体は金属イオンのまわりに計6個あるいは10個のトリフルオロメチル基を有しているにもかかわらず、期待に反して極めて水に不安定であることが判明した。撥水性を発現するためには、疎水基でさらに外側を囲むなど新しい分子設計が必要なことが明らかとなった。 一方、スカンジウム塩としてパ-フルオロオクタンスルホン酸塩よりも金属イオンまわりの立体的広がりがより大きなパ-フルオロシクロヘキサンスルホン酸塩を新たに合成したところ、本錯体は予想どおり前者よりも吸湿性が低く、また、ルイス酸触媒活性が向上することがわかった。なお、これらの結果の一部は日本化学会の欧文誌に発表(印刷中)している。
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