1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大崎 直太 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70127059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 政勝 琉球大学, 熱帯生物園研究センター, 助教授 (90117573)
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Keywords | ベイツ式擬態 / 進化 / チョウ / シロオビアゲハ / 性選択 / 非擬態型 / コスト / 精包 |
Research Abstract |
ベイツ式擬態のコストを調べるために、沖縄県先島諸島で、ベイツ式擬態種シロオビアゲハの非擬態メスと擬態メスの交尾回数を調べたところ、非擬態メスの回数の方がわずかに多いが、有為差はないことが分かった。宮古島で捕獲したシロオビアゲハ150匹を、伊丹市昆虫館の放蝶園に放飼し、オスとメス、非擬態型と擬態型個体の様々な生理、生態、行動を比較調査した。その結果、野外とは異なり、メスの交尾回数は、非擬態型と擬態型に関わらず、1回のみだった。その理由は未解決であるが、以上の点より、実効交尾には擬態のコストがかかっていないことが検証された。放蝶園での成虫の初期死亡率は、オスで最も高く、非擬態型、擬態型、の順に低くなった。初期死亡の最大の要因は、放蝶園のガラスに激突して死ぬことである。このことより、飛翔速度はオスで最大であり、次が非擬態型メスで、擬態型メスは、モデルの毒チョウに飛翔パターンも擬態して、緩やかに飛ぶことが間接的に検証された。つまり、俊敏に飛翔するオスは鳥の捕食をある程度避けることが可能である一方で、メスは緩やかに飛び、鳥の攻撃を受けやすい。それで擬態することで鳥の攻撃を避けると考えられる。この事実は、なぜオスに擬態型が出現しないかの、ダーウィン以来136年間解けない謎に対する間接証明になっている。また、Ohsaki(1985)がNatureで述べた仮説を支持する結果にもなっている。あわせて、上記の結果は、放蝶園では俊敏な個体が選択排除され、鈍重な家畜化された個体が選択されることにより、参観者を恐れない個体が出現する経過を初めて明らかにしている。
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Research Products
(1 results)