1996 Fiscal Year Annual Research Report
繁殖成功の観点からみた開花フェノロジーに関する研究
Project/Area Number |
08874105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊沢 喜八郎 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50271599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 正彦 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183917)
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Keywords | 集中開花 / 順次開花 / ポリネーター / 雌雄異株 |
Research Abstract |
多くの他殖性植物は同種他個体から有効な花粉を得ることにより(あるいは同種他個体を受粉・受精させることにより)適応度を高めている。開花フェノロジーすなわち一斉に開花するか、順々に長期間にわたって開花するか、この観点から理解する必要がある。植物集団の密度が高く、周辺に同種個体が多いと、植物は集中開花をしなくとも、有効に同種花粉をあつめることができる。しかし、同種個体が少ないと、集中開化して多くの花粉媒介者を集める方が、適応度が高くなるだろう。このような観点を数理モデル化した。ボルネオ島キナバル山では、標高が高くなると、植物種数が減少し、逆に同種個体が多くなる。同時に標高が高いと多くの植物は1年を通じて開化しているが、低地では開化時期が限られている。これらの観察結果は上のモデルの予測を裏付けるものである。また、京都市郊外においてイヌヅケ、モチノキ、ソヨゴのモチノキ属3種の植物について開花フェノロジーの調査を行った。これら3種は雌雄異株植物であるが、すべて開花期間は雄個体が長く雌個体では集中的に開花する傾向があった。雄個体では花数が多く、雌個体では少ないことを考慮すると、この傾向はボリネーターを集めるのに最適な開花方式観点から説明できるように思われる。
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