1996 Fiscal Year Annual Research Report
分子遺伝学的解析に好適なミヤコグサ変異体の単離と高再分化能をもつエコタイプの探索
Project/Area Number |
08874108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 正代司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30260508)
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Keywords | ミヤコグサ / エコタイプ / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
エコタイプの収集とそのDNA多型解析。 鹿児島から北海道にわたる、日本全土より15系統のミヤコグサLotus Japonicusの種子を採集した。今後の分子遺伝学的解析のために、現在、それらのエコタイプの種子を増やしている。また将来的な分子遺伝学的解析の基盤づくりをするにあたって、ゲノム上へのDNAマーカー地図の作成は緊要であり、交配可能でかつ多くのDNA多型を有するパートナーの選抜が必要である。北海道忠類で採集された系統、また足摺岬の系統のDNAの多型をすでに確立されたエコタイプB-129と比較した結果、検出されるDNA断片のうちの5%程度の多型しか見いだされず、今後さらに多くのDNA多型を有する系統の探索が望まれた。遺伝子導入のシステムは、茎切片への遺伝子導入頻度をAgrobacteriumを用いて検討したが、実験に供した3系統に間で顕著な差は観察されず、安定な形質転換能が見いだされている。 分子遺伝学的解析に好適なミュータントの選抜 ミヤコグサは植物体が横に広く叢生しかなりスぺ-スを必要とするため実験室内での取り扱いが困難である等の問題点があった。そのため、いくつかの矮化ミュータントを単離したが、いずれも成長が思わしくなく、開花がおくれ、かつ種子形成が悪かった。一方、開花が早く、かつ短期間に多くの種子を登熟させ、老化する、新しいミュータントが、1系統単離された。当初このミュータントは根粒形成に異常を示す窒素固定ミュータントとして単離されてきたが、戻し交配等の遺伝解析の結果、この表現系は、根粒形成とは関係なく優性遺伝することが判明し、2つの表現型を完全に分離することができた。ミヤコグサのすべての成長を促進するこのミュータントは、ライフスパンを制御する新しい遺伝子の変異に起因するものだと考えられる。現在このミュータントの種子を集めている。今後形質転換能について検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)