1996 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロゲナーゼを葉緑体へ導入することによる窒素固定植物の作出
Project/Area Number |
08874111
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
根本 泰行 東京農工大学, 工学部, 講師 (70202249)
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Keywords | ニトロゲナーゼ / 窒素固定 / 色素体 / 葉緑体 / トランジット・ペプチド / Synechococcus / GFP |
Research Abstract |
本年度は,Synechococcus Miami BG 043511株からPCRを用いてnifH,nifD,nifKの3つのニトロゲナーゼ構造遺伝子を増幅し,クローニングを行った。そして,nifHDKオペロンのプロモーター領域全域の塩基配列を単細胞窒素固定藍藻で初めて明らかにした。その結果,7塩基対が4回タンデムに連続的に繰り返す特徴的な配列が見つかった。同様の配列は他のSynechococcus株でnifDとnifKの上流に見つかっているが,nifHDKオペロン全体を制御すると思われるプロモーター領域にも見つかったことにより,単細胞藍藻における窒素固定系の遺伝子発現制御に深く関与していることが考えられる。さらに,色素体にニトロゲナーゼを導入するための予備実験として,タバコ培養細胞BY-2に対して蛍光蛋白質であるGFPの遺伝子をエレクトロポレーションにより導入して,その一時的発現を観察した。また,その際,GFPのコード領域の上流に,同培養細胞からクローニングされた色素体DNA結合タンパク質の遺伝子の中でトランジット・ペプチドと推定されている領域を融合させたものも作成し,同様に細胞に導入した。その結果,トランジット・ペプチドを付加しなかったものについては,GFP由来の蛍光を観察することができなかったものの,付加したものについては,色素体全体が緑色の蛍光を発することを見出した。これにより,この推定トランジット・ペプチド配列が確かに色素体への移行シグナルとして働いていることが証明されたとともに,ニトロゲナーゼを色素体へ導入するためにこの配列を利用できることが分かった。
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