1996 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル分子としてのキシログルカンオリゴ糖の代謝および受容機構
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08874113
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西谷 和彦 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (60164555)
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Keywords | キシログルカンオリゴ糖 / オリゴサッカリン / シロイヌナズナ / エンド型キシログルカン転移酵素 / 細胞壁 / アンチセンス |
Research Abstract |
植物細胞壁由来のキシログルカンオリゴ糖(XGオリゴ糖)が生長制御に於いて、一種のシグナル分子としての機能をもつらしいことを示唆する結果が1984年に報告されて以来、様々な植物を用いて伸長生長に対するXGオリゴ糖の生理作用が解析され、いわゆる「オリゴサッカリン仮説」が提唱されているが、その是非については未だ議論が分かれるところであり、その分子過程につしての実証的な知見は皆無である。一方、エンド型キシログルカン転移酵素(EXGT)は細胞壁中のキシログルカン分子の切断や繋ぎ換えを触媒する酵素として1992年にアズキより単離された酵素である。このEXGTは比較的大きな遺伝子ファミリーを形成することから、その各メンバーは細胞壁中のキシログルカン高分子の切断や繋ぎ換えに関与するだけでなく、XGオリゴ糖の生成・分解やその受容過程に関与する可能性も考えられる。この仮説の妥当性を検証することを目的として、本研究の初年時である今年度は(1)EXGT遺伝子のアンチセンスを発現させた形質転換シロイヌナズナの作成と(2)シロイヌナズナロゼット葉の細胞壁の分析を中心に研究を進めた。その結果、(1)についてはEXGT-A1のアンチセンスのcDNAを発現させた形質転換体のT0世代の種子を得た段階で、その形質を特にXG代謝と形態形成の異常に焦点を当てて次年度以降に解析を進める予定である。(2)については、細胞壁中のキシログルカンをアルカリ溶媒による分別抽出とゲルクロマトグラフィーによる分画により、少なくとも3種の異なる分子群に分別できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hoson,T.et al.: "Effects of hypergravity on growth and cell wall properties of cress hypocoytls" J.Exp.Bot.47. 513-517 (1996)
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[Publications] Nishitani,K.: "The role of endoxyloglucan transfease in the organization of plant cell walls" Int.Rev.of Cytology. 173. 157-206 (1997)
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[Publications] Nishitani,K.: "Implication of xyloglucan related protein(XRP)family in regulation of plant growth and development." Trends in Glycoscience and Glycotechnology. (印刷中).