1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08874114
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
西村 幹夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (80093061)
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Keywords | アスコルビン酸ペルオキシダーゼ / チラコイド膜結合型アイソザイム / ストロマ局在型アイソザイム / alternative splicing / チラコイド局在シグナル / クロロプラスト |
Research Abstract |
カボチャ子葉のチラコイド膜融合型アスコルビン酸ペルオキシターゼ(APX)cDNAクローニングを行い、その塩基配列の決定から、同酵素はN末端側にクロロプラストへの輸送ペプチドをもち、C末端側に約30アミノ酸からなる膜貫通領域をもつ分子量46,059の前駆体蛋白質として合成されることが明らかとなった。そのC末端側アミノ酸80残基を大腸菌で発現させ、発現産物に対する特異抗体を作成した。この抗体はチラコイド膜結合型APXと反応するばかりでなく、ストロマ局在型APXとも反応性を示したが、他のアイソザイムであるサイトゾル局在型APXやマイクロボディ局在型APXとは反応しなかった。この結果は、ストロマ局在型APXが、チラコイド膜結合型APXのC末領域と類似した構造をもっていることを示している。 更に、カボチャ子葉cDNAライブラリーからストロマ局在型APXのcDNAクローニングを行い、その塩基配列を決定した。同酵素は、N末端にクロロプラスト輸送のシグナルペプチドを含む分子量40,661の前駆体蛋白質として合成されることが判明した。ストロマ局在型APXの一次構造は、チラコイド膜結合型APXのC末端膜貫通領域を欠く以外、同酵素と全く一致していた。Southern blot解析及びストロマ局在型APXの遺伝子構造の解析から、ストロマ局在型APXとチラコイド膜結合型APXのmRNAは、同一遺伝子からalternative splicingにより生成することが明らかとなった。この知見は、チラコイド膜輸送シグナルがチラコイド膜結合型APXのC末端374-421アミノ酸の範囲に局在していることを示しており、チラコド膜結合型APXが従来報告されていないチラコイド膜への新規の輸送シグナルを含んでいることが明らかとなった。
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